アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

河鍋暁斎 その手に描けぬものなし サントリー美術館

サントリー美術館で開催中の「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」へ。

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www.suntory.co.jp


会期    2019年2月6日(水)~3月31日(日)

開館時間  10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)      

※2月10日(日)、3月20日(水)は20時まで開館(嬉しい!)

休館日   火曜日(注意!)


一昨年のBunkamura the museumで開催された「ゴールドマン・コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力」展ですっかり、暁斎ファンになってしまったので、今回の展覧会は待ちに待った展覧会でした。お時間がありましたら、終了した展覧会ですが、ホームページがとても凝っていて、暁斎の世界観をよく表現していると思いますので、ご覧になってください。


河鍋暁斎は、幕末から明治に活躍した絵師で、7歳頃に浮世絵師歌川国芳に弟子入り、その後、狩野派、江戸の琳派のひとりである鈴木其一の娘婿になり独立、という、いくつもの絵師、しかも、異なった画風を渡り歩くだけでなく、身につけたという異才です。


サブタイトル通り、その手に描けぬものなし、で、人間だけでなく、動植物はもちろん、幽霊や妖怪まで生きているかのように描いてます!


そんな暁斎ですが、作品の多くが海外(イスラエルのゴールドマンさんなど)に流出し、暁斎も59歳で胃ガンで亡くなり、生前に依頼されていた芸大教授として学生を育てることもなかったため、少し忘れられていた巨匠のようです。私が日本画に疎かったのもありますが。。。
この展覧会では破天荒さよりも、暁斎が才能がある上に、毎日努力を怠らない画家出会ったことに焦点をあて、料亭で催された書画会で、泥酔した暁斎が新政府の役人を風刺する滑稽画を描き、その場に居合わせた警察に捕縛され、牢獄に入れられた事件については、大きくは触れてませんでした。記載はありましたが。
今回は次のような構成でした。


第1章 暁斎、ここにあり!

こちらでは暁斎の代表作「枯木寒鴉図」。当時の価格で「100円(現在の価格で200〜500万円)」と言う高額をふっかけたにも関わらず、「榮太樓飴」で有名な榮太樓が購入したそうです。

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この画像を見せると、入館料が100円引きになります。ミッドタウン1階の何処かにあるので、ぜひ撮影してから展覧会へ。


第2章 狩野派絵師として

ここは真面目な絵が多かったです(もちろん、他の章の作品も真面目なのですが、正統派と言う意味で)
第3章 古画に学ぶ 
こちらの章では、「放屁合戦絵巻」と言う、その名の通り、おなら合戦の巻物が印象的でした。下品なのですが、古くから伝わる絵をもとに、暁斎らしい、軽快な動きが出ている巻物でした。「蛙の学校」は、おととしのゴールドマン・コレクション展でも拝見しましたが、先生も生徒も元気いっぱいで、かわいいです。


第4章 戯れを描く、戯れに描く

「鷹に追われる風神図」が面白かったです。本来なら、鷹より強いはずの風神が、上から鷹に狙われ、あたふたして逃げている様子が描かれています。「貧乏神図」は、いかにも貧乏神と言う姿の痩せて、つぎはぎだけの男性が、絵から出ないよう、神社にある縄で囲まれていたり、掛け軸もつぎはぎだらけで、箱も虫食いだらけを用意して、貧乏感にこだわった作品だそうです。掛け軸のつぎはぎを作ったひとも大変そう。
ここまで来てわかったのですが、私はゴールドマン・コレクションにに含まれる暁斎の絵が好きなようです。
「名鏡魏魂 新版」などのように、鏡の輝きが少し漫画のように表されてるものも、華やかで好きです。


第5章 聖俗/美醜の境界線

ここでも私が好きだったのはゴールドマンさん所蔵の「地獄大夫と一休」でした。地獄大夫の「悟りを開いた」表情と着物の柄が美しいのです。一方で、一休和尚と骸骨は楽しそうに踊っていて対照的でした。


第6章 珠玉の名品

ここでは暁斎が絵日記をつけていたことがわかるのですが、絵日記も手を抜かず、今の一コマ漫画並みのストーリーがありました。ユーモアを欠かさないひとだったのかな、とも想像してしまいました。


第7章 暁斎をめぐるネットワーク

真面目でユーモアがある人柄だからか、暁斎にはたくさんのお弟子さん、そして、息子さん娘さんも画家!

さらに、晩年の暁斎に弟子入りしたのは、あのイギリス人建築家のジョサイア・コンドル!都内にもコンドルの設計した建物が残っています。まとめてくださってるサイトにリンクを張らせていただきました。


暁斎の時代まで、教科書も何もなかった日本画について、体系的に技法などをまとめた著書があり、中身が気になりましたが、読むところまではいかず。。。
今でも仕事などでも口頭や技を盗め、みたいなことがある日本と、システム化が上手なイギリスの違いも感じました。


日本画については、ここ数年しか鑑賞していないのですが、川鍋暁斎の絵はユーモアや皮肉がこめられているのに、動き出すような生き生きした絵で、なぜか毎回、涙腺が緩みます。これは本当に不思議だなあと思い、これからも暁斎を推して、展覧会はもちろん、関連本も読んでいく予定です。

 

国籍、年齢、流派を問わず、愛された河鍋暁斎、お酒で失敗したことがあっても好かれるような人物だったと思うと、ますます魅力的です。


教授の中にも、暁斎のように、いろんな流派とも交流がありつつ、独自路線、お酒の席ではハメを外すのに、なぜか好かれて、共同研究者に好かれる方がいらっしゃいました笑。

 

今回は暁斎展を見ていただきたくて、画像を減らしましたが、本物を見るべきという、推しの展覧会です。