子供の頃に東郷青児美術館がゴッホの《ひまわり》を購入し、大ニュースになって以来、長い間、東郷青児さんが画家であることすら知らなかったMooiです。
そんなMooiですが、コロナ禍初の内覧会に参加させていただきました。
*許可を得て写真を撮影させていただいております。
会場では9作品の撮影が可能となっておりますので、スマホやデジカメをお忘れなく。
展覧会概要
〜異国の旅と記憶〜東郷青児 蔵出しコレクション
会期:2020年11月11日〜2021 年1月24日(日)
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日(ただし11月23日、1月11日は開館)、年末年始(12月28日(月)~1月4日(月))
入館料:一般1000円、大学生700円、高校生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方無料
要予約
第1章 1920年代のフランス(1921-28)
▼展覧会一口には東郷青児が使用していた物が展示されています。若かりし頃の写真がかっこよく、内覧会に参加されてる方の多くが東郷青児さんの写真を撮影されていたのが印象的でした。気軽に海外旅行に行けない現在、旅行パンフレットがとても気になりました。
ちょっとピカソっぽい。
東郷青児さんのイメージは、自由が丘の洋菓子店モンブランの包装紙に描かれている、幻想的な女性の絵だったので、最初のピカソのような《コントラバスを弾く》に驚きました!後で解説にありましたが、ピカソとも交流があったようです。
東郷青児に関する解説には「モダンボーイ」という単語が何度か使用されていましたが、モダンボーイとは?Wikipediaでは、下記のように説明があり、1920年代のおしゃれな男性のことのようです。
モボ・モガとは、それぞれ「モダンボーイ」(modern boy)、「モダンガール」(modern girl)を略していった語。1920年代(大正9年から昭和4年まで)の都会に、西洋文化の影響を受けて新しい風俗や流行現象に現れた、当時は先端的な若い男女のことを、主に外見的な特徴を指してこう呼んだ
▼《南仏風景》
牧歌的な風景を描いていますが、私のイメージしていた東郷青児の絵ではなかったので、解説がなかったら、東郷青児の作品だと気付かなかったことと思います。こちらは撮影OKな作品です。
第2章 モダンボーイの帰国
▼《窓》を使用した第2章の紹介パネル。《窓》は、新しくなったSOMPO美術館のロゴにも使用されています。
▼「ぶらぶら美術館」で得た知識ですが、当初、右端の《窓》に描かれているヒトの股間は黒く塗られていて、陰毛を表していたらしいのですが、依頼者から苦情(?)が来て、白くしたらしいです。
▼この時の放送で得た知識
▼全体的に色合いが茶色っぽい気がしました。
二科展出展時のポストカードも素敵でした。
第3章 イメージの中の西洋(1935-59)
▼私の知っている東郷青児の作品はこの時代の作品だと判明。
こちらでは藤田嗣治との交流に関する資料も展示されていました。
▼《赤いベルト》こちらの作品は撮影OKです。黒のワンピースに、真っ赤ではない赤色のベルトがとても粋です。東郷青児さんの描く女性が着ている洋服はどれも素敵。
第4章 戦後のフランス(1960-78)
こちらの展示では、戦後、フランスを再訪し、現地の貧しい状況を知った際の作品が展示されています。
▼再訪時の東郷青児。お年を召されても、かっこいい!
▼水彩画の数々。真ん中の《セシル・カット》の女性が好みでした。こんなにショートカットが似合ったら、楽しいだろうなあ。
ここから4階に降ります。
こちらでは二科の交換展や受賞時の症状やメダルなども展示されていていました。
第5章 異国の旅と蒐集品(1960-78)
▼東郷青児が訪れた国々の女性の水彩画が並びます。目が印象的。
▼《タッシリの男》
この展覧会ではほとんど見かけなかった、男性を描いた水彩画。こちらの作品は撮影OKです。
第6章 当館の設立と新たなる旅(1976-78)
ここからは東郷青児旧所蔵品などを紹介し、東郷青児美術館(創設当時の名称)が設立されるまでの歩みが紹介されています。
ほとんどの作品が私の知らない画家の作品でしたが、当時はグラン・コルニッシュはほとんど全て東郷青児が所蔵していたほど、熱心な蒐集家でもあったようです。
▼《貴婦人》
グラン・コルニッシュから影響を受けたのでしょうか。
こちらの作品は撮影OKです。
収蔵品コーナー
SOMPO美術館といえば、セザンヌ《りんごとナプキン》、ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》、そして、ゴッホ《ひまわり》
こちらは指定された場所からの撮影OKです。鑑賞者の邪魔にならないよう、撮影しましょう。
感想
当初予定されていた「ゴッホと静物画ー伝統から革新へ」展がコロナ禍の影響で中止となり、がっかりしていた中、開催された「東郷青児蔵出しコレクション」展。東郷青児のことは、モンブランを始めとする包装紙で親しんでいたせいか、知っているつもりになって、全く知らなかったことを痛感できる展覧会でした。フランスで修行されたことは知っていたものの、想像以上に多くの国々を訪れた旅人でもあったことを知り、限られた人しか海外旅行に行けなかった時代、積極的に海外に行き、作品を通して、一般人にも外国の空気感まで紹介してくれていたのかな、と感じました。
コロナ禍で海外の所蔵品を展示する展覧会は中止や延期になっていますが、日本国内にも素晴らしい画家がいて、海外作品を紹介してくれたことを知る機会となる、素敵な展覧会でした。予定されていたゴッホの展覧会に比べると地味に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、一人の画家について、こんなに深く掘り下げてくれる展覧会は少ないと思いますので、ぜひ足を運ばれてみてください。
東郷青児作品のコースターをもらっちゃおう!
《赤いベルト》、《超現実派の散歩》をモチーフにした赤・青の2種類のコースターが作成されています。展覧会期間中、2階のCafe du Museeでドリンクを注文した方、先着500名に1枚無料で配布してくださるそうです。非売品なので、ぜひこの機会に!
カフェは土日・祝日のみ、11:00-16:30(16:00ラストオーダー)だそうですので、ご注意を。