2021年は父の闘病、他界があり、ブログの更新も他の趣味も、あまり気が乗らず、家ではあまり何も考えず、twitterばかり見て過ごしていました。
父は美術よりもスポーツが好きなひとでしたが、博物館や美術館にもよく連れて行ってくれました。 今日は少し、父と見た絵画や、一緒に行った美術館を振り返りたいと思います。
祖父母が人形町で店をやっていたこともあり、上野には何かとよく出かけていました。
子供の頃に東京国立博物館に行き、俵屋宗達《風神雷神図屏風》を見た時の衝撃は今でも忘れられません。
まだ小さかったからか、風神と雷神と一緒に、自分も雲の上にいるような、ふわふわとした感覚を味わったのです。
今年はアーティゾン美術館で再会する機会があり、本当は父と一緒に鑑賞したかったのですが、新型コロナウイルスの影響もあり、父も母も家にいることにし、1度目はひとりで、2度目は友人と鑑賞しました。
子供の頃のように、浮いているようには感じなかったものの、風神雷神のリボンが新体操のように動いて見え、やっぱり、すごい絵だなあ、と感動しました。
[blogcard url="https://www.artizon.museum/exhibition/detail/45"]
他に印象に残っているのは、1998-1999年に開催された「日本におけるフランス年」で来日していた、ドラクロワ《民衆を率いる自由の女神》。もう成人していて、両親と妹を含む家族4人で出かけることはほとんどなかったのですが、なぜかこの展覧会は家族4人で向かったので、よく覚えています。そんなに芸術に熱心でもない我が家ですら、家族全員で向かっただけあり、何時間か並んだ記憶があります。少しか鑑賞できなかったのですが、当時の会場の熱気はよく覚えています。自由の女神は、鑑賞している民衆ですらも率いているくらい、賑やかな展覧会でした。
[blogcard url="https://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/tokusyu/1998/0428/index.html"]
最後の思い出となったのは、私がオランダに住んでいた頃、両親が旅行に来てくれた時に、日本人ガイドさんに楽しんで連れて行ってもらったマウリッツハウス美術館のフェルメール《デルフトの眺望》。私は仕事で一緒に行けなかったのですが、珍しく、父が気に入って、パネルを購入してきたので、よく覚えています。そのパネルは今も自宅にあり、父の葬儀では、額装して、一緒に飾ることにしました。私が一番好きな作品のひとつも、この作品なので、親子で趣味が似ていたのかもしれません。
もう一度、オランダにも連れて行きたかったと悔やみますが、何年も前のことなのに、何度も「オランダに行ってくれたおかげで、初めてヨーロッパに行って、本当に楽しかった。いろんな人が住んでいるから、見てるだけで楽しかった。」と何度も何度も話してくれ、亡くなる1週間前も、当時の写真をスライドショーにして、テレビに映して見ていたものでした。
[blogcard url="https://www.mauritshuis.nl/ontdek-collectie/kunstwerken/92-gezicht-op-delft/"]
最後になりますが、両親と出かけて思い出に残っているのは、今年初めに閉館した原美術館です。
研究をしていた頃、体調を崩して、あまり乗り物に乗れなかった時期があったのですが、両親が車で連れて来てくれました。
坂田栄一郎さんの江ノ島の写真の展覧会で、小さい頃は家族でよく江ノ島に出かけていたので、「この写真はあの場所かな?」などと話しながら鑑賞していたのを思い出します。
[blogcard url="https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/321/"]
私はあまり記憶力が良い方ではないのですが、案外、両親と出かけた展覧会は覚えているものだなあと驚きました。
アウトドアだった父親と、珍しく美術館や博物館に出かけたからかもしれません。
このコロナ禍では、親御さんと遊びに出かける機会が減って、思い出作りができなかったお子さんも多いと思います。
来年は、気軽に家族で出かけることができる状況になりますように願い、今年最後の投稿としたいと思います。
本年も、稚拙な文章にも関わらず、ご覧いただき、ありがとうございました。
良いお年をお迎えください。