アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

アシュケナージさんと辻井伸行さん、アイスランド交響楽団(ミューザ川崎)

11月3日(土曜日)

 
20年来の憧れの人、ウラジミール・アシュケナージさんと、母親が好きな辻井伸行さんの夢の共演。正直に書くと、チケット予約の際、「アイスランド交響楽団」のことは全く知りませんでした。ワールドカップロシア大会で活躍し、人口34万人しかいない国で、埼玉県所沢市より少ないようです。

 

渡されたプログラムはB。ラフマニノフです。ちなみにプログラムAはショパン

 

セグルビョルンソン:氷河のノクターン

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

ラフマニノフ交響曲 第2番 ホ短調 作品27

アンコール曲:

ドビュッシー「月の光」

ラフマニノフ ヴォカリーズ

 

アイスランド交響楽団だけの「氷河のノクターン」。とっても難しそうな曲で、途中、アシュケナージさんの顔も歪む。

5分と言う短い曲目だったけど、難解でした。。。

 

続いて、ラフマニノフピアノ協奏曲 第2番ハ短調 作品18

 

アシュケナージさんの肩に手を置き、誘導されて辻井さんが登場。この光景だけでも、チケット代なんて吹っ飛ぶくらいの歴史的価値が!

アシュケナージさんと辻井さんの信頼関係が、この登場だけでも伝わってきました。

 

辻井さんがピアノを奏でた途端、アイスランド交響楽団の演奏もどんどんどんどん盛り上がっていくというか、引っ張ってもらって、自走していく感じというか。素人の私でも、アイスランド交響楽団の皆さんの高揚感が伝わってきました。アシュケナージさんと辻井伸行さん。二人の天才と一緒に舞台に立てる、奇跡の中での演奏なのでしょう。

 

ピアノ協奏曲の後、辻井さんがアンコールで、ドビュッシーの「月の光」を演奏してくださって、もうもう感無量でした。今まで聴いた「月の光」と全く違いました。間が美しいのです。演奏が素晴らしいので、間が輝く、そんな感じです。風邪気味の方が多買ったにも関わらず、会場が、まさに、水を打ったような静けさになりました。辻井さんとアシュケナージさん、アイスランド交響楽団、観客の一体化。

 

演奏の間、あのアシュケナージさんが指揮台に座って、目を閉じて揺れて、辻井さんの演奏に身を委ねられている姿は神々しいとしか表現が見つかりませんでした。

ルーベンスに絵を依頼したいくらいの神々しさ。


アシュケナージさんと辻井さんがシンクロしていて、これが"gifted"と言われる人たちの世界か…と息を飲んで演奏に聴き入ってしまいました。歴史的瞬間に立ち会えて、感謝しかありません。
自分を含めて、こんなに涙を流してる人がたくさんいるコンサートは初めてでした。

 

私が最初にアシュケナージさんのピアノをカセットテープとCDで聴いたのが高校生くらい。ショパンを聴くと、勉強がはかどる、とか、そんな進学校の学生らしい理由でした。

 

その後、なぜかいいな、と思うピアノは全てアシュケナージさんで、大学時代に新聞広告で「すごい人なんだ!」と知りました。インターネットのある時代では考えられない、緩やかな時代。

アシュケナージさんのピアノで、ショパンを聴けるチャンスだったのに、当時は大学生で、申し込み方も良く分からず。。今思うと、自ら奇跡を聴く機会を失ってしまったんですね。とても後悔しています。それ以降、気になるアーティストの演奏や舞台はなるべく申し込んでいます。

このコンサートを聴いた後、週末は夢見ごごちでした。アシュケナージさん81歳。もう来日は最後かも、と思うと涙が出てきます。一方で、「いやいや、アシュケナージさんを追いかけて、海外コンサートも行こうよ!」という、もう一人の自分もいたり。