アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

特別展「明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―」

泉屋博古館分館の特別展「明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―」のブロガー内覧会に参加させていただきました。

会期 :2019年3月16日(土)~5月10日(金) 
前期:3月16日(土)~4月14日(日)、後期:4月17日(水)~5月10日(金)

開館時間:10:00~17:00(入館は16時30分まで)

休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館、4月30日、5月7日休館)、4月16日(展示替え)

入館料:一般800円(640)、高大生600円(480)、中学生以下無料 

泉屋博古館分館は、15代当主・住友春翠(1864~1926)によって形成された住友コレクションで知られる、泉屋博古館(京都)の分館に相当する美術館です。この住友春翠こと、住友友純は東山天皇の男系の子孫であり、皇室と深いつながりがあることから、今回の特別展は、学習院大学資料館と共同で開催されています。また、共立女子大学博物館ミキモト銀座4丁目本店とも協賛し、お互いの作品を交換して展示するなどして、各美術館・博物館・企業の垣根を超えてコラボレーションしている、異色の特別展とも言えます。 

先日、「ニコニコ動画」の「ニコニコ美術館」という番組で、こちらの特別展が紹介されていたのですが、とても面白い番組だったので、リンクを貼らせていただきますね。無料登録でご視聴できます。出演者が豪華!
小松大秀さん(永青文庫美術館館長/本展監修者)野地耕一郎さん(泉屋博古館分館長)、長佐古美奈子さん(学習院大学史料館 学芸員)、
森下愛子さん(泉屋博古館分館 学芸員

live.nicovideo.jp

以下、共同開催の学習院大学資料館と共立女子大学博物館、ミキモト4丁目本店のリンク先も。

www.gakushuin.ac.jp

www.mikimoto.com

www.kyoritsu-wu.ac.jp

 内覧会の始めに、野地分館長より、「明治皇室の役割を見直す良い機会」との紹介があり、その後の説明により明らかになっていきました。

また、特別展のご担当の学芸員である森下愛子さんからは、泉屋博古館の特別展のキーワードが紹介されました。

1)鹿鳴館の時代と明治宮殿

2)明治宮廷を彩る技と美

だそうです。

 

第一会場では、明治宮殿、鹿鳴館で使用された食器、家具を中心に紹介されており、明治皇室が、当時の職人たちが江戸時代の技法を保存、承継できるよう、現代生活に見合った作品を作る作家を支援していたこともわかります。

支援のひとつとして、人間国宝の前身を作られたのも明治皇室とのことです。

 

第1会場でひときわ目を引いたのが、《中礼服 北白川宮妃房子着用》です。薄いクリーム色に近い白地にピンク色のバラが刺繍された、可憐なドレスです。

明治維新前、皇族はもちろん、日本人のほとんどが和装でした。しかし、イギリス王子を歓迎した際、和装で迎えたところ、「失礼だ。日本も国際儀礼に習うべき」と苦言を呈せられたそうで、明治天皇の皇后であらせられた昭憲皇太后御自ら、高松塚古墳などに描かれた服装と同じ、上下に分かれてて、理にかなった服装である」と仰り、洋装を推進され、御自ら、肌を露出する洋装を着用されたそうです。かっこいい女性ですね。

また、同室に展示されている、昭憲皇太后のお写真は珍しく、特に、お座りになられたお写真は見つからず、今回が初の展示だそうです。モデルのような、美しい方ですね(個人の感想)。

ちなみにこのイギリスの王子を迎えた延遼館は、 浜離宮にあったそうで、

舛添要一さんが都知事の際、復活させようとして、当時、ニュースになっていたのを思い出しました。

明治天皇昭憲皇太后肖像画がありますが、この肖像画、長い間、なんとお茶の水女子大学の講堂に飾られていたそうです!こちらの肖像画昭憲皇太后がお召しになられているマントと同様の、緑色のマントが、共立女子大博物館 にて、公開されます(リンク先の画像参照)。
こちらも貴重なので、お見逃しなく。

 

そして、延遼館の次に立てられた館が、有名な鹿鳴館です。鹿鳴館の調度品に見られるような、和洋折衷のような、ジャポニズムの流れができたそうです。

このジャポニズムの流れを作った工芸のひとつが、《色絵金彩花鳥文花瓶》 

一対で作られ、展示作品は、戦火を乗り越え、残っていたそうです。

 

第2会場・ホール

 こちらでは特別に撮影許可をいただきました。

当時の明治皇室が支援された芸術家、山崎朝雲、初代宮川香山、森寛斎、今尾景年の作品が展示されています。

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初代宮川香山の青華鳳凰形花入

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山崎朝雲作 特別出品 御尊像

第3会場

明治天皇皇后両陛下の銀婚式の際に作られた鶴と亀のデザインのボンボニエール(金平糖を入れる器)を始め、皇室の慶事ごとに作られた個性豊かなボンボニエールも数多く展示されていました。これは本当に見応えがあります!!

一緒に参加された方に、「もし、ひとついただけるとしたら、どのボンボニエールがいい?」と質問されましたが、どれも素敵なので、真剣に悩みました。

学習院大学資料館の学芸員でいらっしゃる長佐古美奈子さんが出版された、ボンボニエールの総合的研究書ボンボニエールと近代皇室文化: 掌上の雅に詳しいそうです。

また、内覧会で配布していただいた学習院大学資料館のミュージアム・レターNo.40でも、特別展は紹介されており、個人的に驚いたのが、皇太子殿下のお写真が多かったこと!!

皇太子殿下は、学習院大学資料館の研究員でいらしたそうで、「白衣の皇太子殿下」のお姿は貴重かも。もし、機会がありましたら、学習院大学資料館でミュージアムレターNo.40をゲットしていただきたいです。また、ご自身の「着袴の儀」の際に作られたボンボニエールを特別に展示してくださってるそうなので、泉屋博古館分館と学習院大学資料館を廻って、一つの特別展になっていそうです。

ため息のでるような明治時代の職人たちの作品が多く、まだまだ書ききれないのですが、 御代替わりという貴重な機会、泉屋博古館分館、学習院大学資料館、共立女子大学博物館、ミキモト銀座4丁目本店を巡られるのはいかがでしょうか。

 

個人として、学習院に在籍していたことがあるため、長文になってしまいました。たまたま構内の講演会に参加されてる皇太子ご夫妻をお見かけしたことがあり、温かい雰囲気にうっとりした経験があります。残り1ヶ月で平成が終わると思うと寂しいような気もしますが、新しい時代の幕開けを見られる貴重な機会。

明治維新による急激な変化を乗り越えた明治皇室の知恵と柔軟性は、今の時代にもインスピレーションを与えてくれるような気がしました。