アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

徳仁親王著「テムズとともに-英国の二年間- 」を思い出しながら、皇室関係の展覧会をまとめてみた

徳仁親王著「テムズとともに-英国の二年間- 」を読んだ感想と影響

平成最後の日。

普通の日として終わると思っていたが、今上天皇の、天皇陛下としての最後のお言葉は胸にくるものがあった。

一方で、昔のことも思い出した。

短い間だったが、学習院で学んでいたことがある。

法学部に所属していたため、憲法の講義は必須であり、日本国憲法第一条 第一章は「天皇」であるので、最初に学んだ法律である。

その時まで、全然気にしなかったけれど、皇族には苗字がないこと、参政権がないことなど、色々なものがないこと、当時の教授によると、「基本的人権もない」ということを聞き、衝撃を受けた。

その後、他の授業で、皇太子殿下が、オックスフォード留学の2年間の生活について執筆された、「テムズとともに」という本を読んで感想を提出する、ということがあった。

テムズとともに -英国の二年間- (学習院教養新書 7)
オックスフォード生活で、初めての支払い(クレジットカードだったと記憶してる)、アイロンがけなどを体験された皇太子殿下。とても楽しそうなご様子を記されていた。
でも、時々出てくるフレーズ
「オックスフォードならではである」
には、帰国後は皇太子殿下として、その後は天皇として生きていかれるご身分では、クレジットカードを使われることも、アイロンを使われることもないであろうことを覚悟されてるようで、寂しくもなった。あくまで憶測だけど、一般人の何倍も、留学生活を精一杯、全力で楽しまれ、学ばれたことが想像できるような内容だった。
数年後、私はケンブリッジに留学していた友人を訪ねた。皇太子殿下のご著書の影響も大きい。最初の海外旅行、それも一人旅で不安だったが、「テムズとともに」を思い出すと、自分も行ってみたいな、と思えたのである。オックスフォードではなく、ケンブリッジだったけど(その後、オックスフォードも縁あって、訪問できた)。
結局、自分が海外に住んだのは、かなり後で、イギリスではなくてオランダだったが(イギリスのラボは不採用)、若い頃、刺激を与えてくれたご著書には感謝するばかりである。
感想文を提出後、構内の講演会で皇太子ご夫妻を拝見する機会があり、真っ先に、「あ、テムズとともにの、、、」と思ってしまった。読了した本の著者にすぐにお会いできたことで、留学への思いが強くなったように思う。
今では手に入りにくい本になってるかもしれないが、所蔵している図書館が多いので、留学を希望されてる方には、一人の学生の留学体験の読み物として勧めたい。

皇室関連の展覧会

日頃、皇室ファンでも何でもないのだが、3月、4月と皇室関連の展覧会に足を運ぶ機会が多かった。明治時代から現在までの皇室文化は、明治の超絶技巧や、日本の伝統的な絹織物を鑑賞する機会としても、優れた展覧会が多いように感じている。

 

先日、出張先が日本橋だったので、就業後、日本橋高島屋で開催されていた(期間終了)「御即位30年 ご成婚60年記念 特別展 国民とともに歩まれた平成の30年」展に。天皇皇后両陛下が全国各地に足を運ばれていたのはニュースなどで知っているつもりだったが、その数の多さに圧倒される写真と各土地の名産品の数々であった。

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ご成婚の時に使用された馬車

 

blog-tokyo.takashimaya.co.jp

 

また、銀座に行った際に通りがかって寄ってみた、ミキモト銀座四丁目本店で開催中の「ようこそ、ボンボニエールの世界へ」(無料)。ボンボニエールとは、日本の皇族の慶事の引き出物として使用されてる、銀製や陶器製の箱。中には金平糖が入っている(実際には見たことないけど)。

こちらの展覧会は、回転台に乗って展示されているボンボニエールがあるので、とても見やすい。形や素材が多種多様に富んでいて、小さいながらも存在感があり、見ているだけで楽しくなる。

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ミキモト銀座四丁目本店で開催(-5/10まで)

www.mikimoto.com

また、同じく5月10日(金)まで開催しているのが、泉屋博古館分館(六本木一丁目駅または神谷町駅)で開催されている「明治150年記念  華ひらく皇室文化-明治宮廷を彩る技と美-」。こちらの様子は下記リンク先のブログに書かせていただいたが、明治時代の超絶技巧の職人たちの技の饗宴と言ってもいいほど、精巧な芸術品が展示されていたので、皇室に興味がない方も楽しめるかと。

mooi-desu.com

学習院史料館では、5月18日(土)まで、「華ひらく皇室文化」が展示されている。学習院史料館は、皇太子殿下が研究員としてご勤務されていたことがあり、News letter No.40では、珍しい、白衣姿の皇太子殿下や、ご自身が4歳の時の慶事の際に作られたボンボニエールの思い出なども綴られていて、興味深かった。

www.gakushuin.ac.jp

これもまた偶然だが、静嘉堂文庫美術館で開催中の「日本刀の華 備前刀」展(-2019年6月2日まで)でも、宮内庁三の丸所蔵尚蔵館所蔵「太刀銘 備前国長船光忠」という、今上天皇陛下のご生誕を祝った際に贈られた刀剣も展示されていた。

mooi-desu.com

元号改定は、美術館巡りが趣味のひとにとっても、貴重な作品と出会える機会になると思う。

そういえば、昨日、お茶をした、自由が丘の「古桑庵」には、昭和天皇即位の礼の際に引き出物として下賜されたボンボニエールが展示されていた。祇園祭りの山鉾っぽいデザイン。 

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昭和天皇即位の礼の際に下賜されたボンボニエール