令和元年初日。毎年、GWは、旅行に出ることが多いのですが、今年は自宅。ということで、せっかくなら、令和を満喫するぞ、と思い、「美術手帖」さんで無料となる美術館をチェック。国立近代美術館へ向かいました。
竹橋駅はアート!?
最寄駅の東西線・竹橋駅ですが、工事中なので、養生テープが貼られてるのですが、カラフルなせいか、アートに見えます。
また、竹橋駅は毎日新聞社のビルと直結しているので、号外が配布されてました。いきなり「令和」感が盛り上がりました!同時に、毎日新聞社の方が祝日にも関わらず、「号外」をまとめたセットや上皇上皇后陛下の記念本を手売りされてました。
皇居東御苑
号外を受け取り、にわかに「令和」を実感したので、皇居東御苑に行ってしまいました。案内板がすでに「天皇皇后両陛下」から「上皇上皇后両陛下」に変更されてました。早い!
東御苑を散策し、令和の雰囲気を楽しんでいるひとたちを眺め、本日の目的地である「国立近代美術館」へ向かいました。
「江戸時代の天皇」展@国立公文書館
でも、隣の「国立公文書館」の「江戸時代の天皇」展が気になってしまい、吸い込まれました。こちらの博物館は入館料無料でした。
この展覧会、最初に入り口奥にある、展覧会概要のビデオを観てから、作品を鑑賞するのがおすすめです。
江戸時代といえば「徳川幕府」の時代なので、その時代の天皇家の活動(?)は全然知らない事にも気づきました。
一番驚いたのが、京都で大飢饉が起こった際、幕府に頼んでも解決しなかったため、庶民たちが御所や朝廷にお願いすることにし、その数が日に日に増え、当時の天皇が幕府に掛け合って、解決した、という話でした。他の箇所にも「幕府とやりあった」など記載されており、天皇家と徳川幕府は外面的には、巻物に描かれてるように、良い関係を築いてることを見せつつも、たまには意見を闘わせていたようです。神武天皇からだと2600年以上も続いてきた天皇家、各時代の政府とうまく共存(武士の役職は天皇が任命、など、特殊な関係があった)してきたのだなあと思うと、感心してしまいました。
そんな長い歴史の天皇家に関心していたところ、最後にあの!「平成」の原本がありました(5月12日まで展示)。
また、「令和」の語源になった「万葉集」のページも展示されていました。テレビで見たアレです。
国立公文書館を出る頃にはすっかり「令和」に浮かれてきた私。
やっと、目的の「国立近代美術館」へ。
福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑い飛ばせ!
このタイトルからして、令和初日には微妙な感じがしましたが、内容は面白かったです!
福沢一郎さん、全然存じ上げませんでしたが、ユーモアと皮肉のある作品が癖になりました。10章で構成されているので、なかなか体力の要る展覧会です。
1. 人間嫌い:パリ留学時
2. シュルレアリスムと諷刺
3. 帰国後の活動
4. 行動主義(行動的ヒューマニズム)
5. 戦時下の前衛
6. 世相をうつす神話(1)
7. 文明批評としてのプリミティヴィスム
8. アメリカにて
9. 世相をうつす神話(2)
10. 21世紀への警鐘
作品ごとにパンチが効いていて、どれも印象的。特に、個人的に気になったのは、9.《Poisson d'Aviril(四月馬鹿)》、16.嘘発見器(1930年)、会議中に女性の裸などを考えてることを皮肉っている22.《教授たち 会議で他のことを考えている》、出品目録でクイズにもなっている31.《女》、戦時下の前衛を表してると思われる、枯れたひまわりを描いた、38.《ひまわり》、これまたクイズになっている、1973年「オイルショック」を皮肉ってた、79.トイレット・ペーパー地獄
こんなに面白く世相を皮肉って、神話など普遍的な内容にしてしまう方がいることを知らなかったとは、今までがなんだか勿体無いような気すらしてきました。また、簡単に扇動されてしまう庶民の姿は、「令和」で浮かれている今日も、胸が痛くなりました。
ミュージアムショップでチェックした関連本の中では、こちらが薄いのにまとまっていて、良い感じでした。
国立近代美術館といえば、所蔵品の素晴らしさでも知られています。
MOMATコレクション展
MOMATコレクションが好きなので、チェックした本。
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会期:2019年1月29日(火)~ 5月26日(日)
開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)※入館は閉館30分前まで
休室日:月曜日[ただし2月11日、3月25日、4月1日、4月29日、5月6日は開館]、2月12日(火)、 5月7日(火)
観覧料:一般 500円 (400円)
大学生 250円 (200円)
5時から割引:一般 300円 大学生 150円
毎月第一日曜日は無料観覧日
毎回、感動するMOMATコレクション展ですが、今回は、「これぞ、国立近代美術館」と唸ってしまう作品が多かったです。教科書などで見た作品、絵葉書になってる作品も多かったので、どんな方でも楽しめることと思います。
どんな季節に見ても、夏の暑い日に汗だくで坂道を登った日を思い出させてくれる岸田劉生の《道路と土手と塀(切通之写生)》も展示されてました。
中学の美術の教科書で見た古賀春江《海》。飛行船と鳥、潜水艦と魚、工場と女性など、人工物と自然を対比して描いていて、全く関係がないものが描かれてるのに、ごちゃごちゃしてる感じがせず、むしろ、統一感すら感じる、不思議な絵です。この絵が好きで、ミュージアムショップでハンドタオルを購入しましたが、手触りがとても良くて、水をよく吸うので、次回は色違いを購入予定。
私の中でのブラック作品第一号は、この《女のトルソ》。キュビズムではあるけど、色が薄くて、カクカクしてるイメージだったので、三菱一号館美術館で開催された「フィリップス・コレクション」展で見た、油絵の具で立体的なでこぼこのあるブラックは新鮮でした。
初めて国立近代美術館に来館した際に、思わずポストカードを購入してしまった、パウル・クレー《花ひらく木をめぐる抽象》も展示されていました。この作品は、何度見ても、歪んでいる中に、いろいろな色が入っているのに、花の生命力が全面には出ておらず、控えめで、つい見入ってしまいます。
3階6室 1941-1945 戦争/美術
また、写真を撮るのはなんとなく躊躇ってしまいましたが、「6.1941-1945 戦争/美術」は、平成〜令和の今、戦争がないことは、当たり前ではないことを再確認できる、素晴らしい展示です。
ぜひ、実物をご覧になってください。
山口蓬春《香港島最後の総攻撃図》、藤田嗣治《血戦ガダルカナル》など、直接的に太平洋戦争を描いたものから、第五福竜丸が、アメリカの水爆実験に巻き込まれた第五福竜丸事件を描いた岡本太郎《燃える人》なども展示されています。
美術館の春まつり
桜の季節は終わりましたが、「美術館の春まつり」展もまだ開催されてました(終了したと思っていたので、ラッキー)。
今年も川合玉堂《行く春》に出会うことができました。桜吹雪が見事です。
跡見玉枝《桜花図巻》では、桜にこんなに種類があったのか、と思うほど、多くの桜の絵を見ることができます。
国立近代美術館の日本がの部屋は、スペースそのものが落ち着きます。広々とした部屋、ガラスに人が反射しないように黒く塗ったフローリング、そして、畳に座って鑑賞できるスペース。
1日で廻るのは難しいボリュームなので
1日で企画展とコレクション展を完璧に鑑賞することを目指さず、2回目はコレクション展が無料観覧になる、第一日曜日に来館するなど、工夫をされると良いかと思います。
私は毎回、4階、3階のコレクション展で消耗し、2階をしっかり鑑賞することができていません。今回も2階のジュリアン・オピーの前の椅子で休んでしまいました。