アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

【品川】The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project 【2019年7月28日まで】

2度も行ってしまった、原美術館で開催中の「The Nature Rules 自然国家 : Dreaming of Earth Project」

会期2019年4月13日(土)~7月28日(日)
開催場所:原美術館
開館時間:11時~17時(祝日を除く水曜は20時まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
入場料:一般¥1,100(税込)

崔在銀の熱い想いが籠もった仮想のプロジェクト

崔在銀(チェ ジェウン)による発案・構成の「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」展を開催いたします。
本展は、Korean War休戦後、65年余りの歳月を経て非武装地帯(DMZ / Demilitarized Zone)に生まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるもの全ての共生を願って崔が立ち上げた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会です。本展の題名となっている「自然国家」とは、人間ではなく自然が治める国、崔の理想とする国のことです。
かつて「アショカの森」展(2010年、原美術館)を開催するなど、アートの視点から生命を見つめてきた崔の集大成とも言えるDMZを舞台にしたプロジェクトの実現に向け、彼女に共感する多くのアーティストや建築家の英知とともに、まずは原美術館から歩み出します。 

 北朝鮮と韓国の間の非武装地帯DMZ (DeMilitarized Zone)。名前だけは知っていても、具体的にはどんな場所か全く知りませんでした。

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この展覧会では、誰も立ち入ることのできないDMZで、できる限り自然に影響を与えずに、展覧会を含む壮大なプロジェクトの計画、仮想の展覧会が行われていました。

今回の仮想の展覧会に参加しているのは、崔在銀、李禹煥坂茂オラファー・エリアソンなど、豪華なメンバー。

崔在銀、李禹煥は韓国人なので母国と北朝鮮の間にできてしまったDMZへの思いは計り知れません。

 

美術館に入るとすぐに大きなディスプレイがあるのですが、参加アーティストたちが、この仮想の展覧会についてメッセージを語っています。中でもやはり、崔在銀のメッセージが一番、強く感じられました。

1度目の来館は一人で

坂茂は全長が20kmにも及ぶ《空中庭園》を構想。その《空中庭園》のうち、「竹のパサージュ」という両脇が竹でできている、尾瀬のハイキングコースのように、自然に影響を与えないような道の1/2スケールの模型を設置していました。

正直、1/2スケールだと、「?」って感じもしましたが。

 

また、有刺鉄線として使われていた鉄が溶かされて、人間が歩く時に渡れるような鉄の板に変えられていたのが印象的でした。この鉄でできた歩道で、平和的に北緯38度線を渡って行き来してほしい、そんな思いも感じました。

 

地球にとって、人間なんて不要なのではないか、人間がいなければ、こんなに自然が豊かになるのか…と北緯38度線の非武装地帯DMZと福島の原発事故で立入禁止区域になってる地域、チェルノブイリを重ねてしまいました。事情は違うけれど、人間が犯した過ちで立ち入れなくなったことで、自然が豊かになっていくことの皮肉な現実。

2度目の来館

2度目は韓国人の友人と来館しました。

誘うかどうか悩みましたが、彼女の国だからこそ、率直な感想を聞きたかったのです。

 

友達の国、そして何より、隣の国。
1人で鑑賞した時より、心に迫るものがありました。

 

友人は、「私、ここに比較的近い、韓国側に住んでいたことがあるんです。」と話しだし、豊かな自然があり、多くの動植物が生息するDMZの動植物の写真を見て、「私、この動物はもう絶滅していたかと思ってました。この植物も見たことない...」と、じっと見入ってました。

 

その後、友人が、「こういう展覧会も建物も何もせずに、今の、自然のままにしてほしい」と言っていたのが印象的でした。


アーティストの皆さん達もアイデアは出してるものの、本当は自然のままが一番だとわかってるような気もしました。

 

美術館入り口の李禹煥《透明茶房》が全てを表してる気がします。

▼ミニマムな茶室はピクニックのシートのよう。

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うまく説明できないけれど、見たひとだけが感じられる展覧会

政治も絡んでいるので、うまく説明できないのですが、この仮想の展覧会を見ることで、DMZの自然の豊かさ、そして、そのような自然がなぜできたのか、歴史的背景を知ることができます(朝鮮戦争時の資料もあります)。

 

偶然にも展覧会会期中に、米国のトランプ大統領が軽く北緯38度線を超えるというニュースがありました。

なぜ65年前にDMZができ、誰も入れなくなったのでしょう。

www.bbc.com