東京駅直結の三菱一号館美術館「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展のブロガー内覧会に参加してきました。
*写真は特別に許可を得て撮影させていただいております。
暑い夏こそ、東京駅から地下道直結の三菱一号館美術館がおすすめです!
東京駅地下道から直結です!
丸の内Kitteの地下1階のアマノフーズさんに近い出口を出ると、すぐに三菱一号館美術館の地下入り口に行けますよ〜。
8月12日〜15日は21時まで開館している上にカフェにフォルチュニ展の特別メニューが!
会期:2019年7月6日(土)~10月6日(日)
開館時間10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、8月12日~15日、会期最終週平日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。休館日月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、9月30日とトークフリーデーの7月29日、8月26日は開館)
赤字にしましたが、お盆期間はなんと、21時まで開館!中のみなさんは大丈夫なのでしょうか、と心配になりましたが、お盆付近の5日間は、「5days ナイトミュージアムイベント」を開催してくださって、隣接のCafé1894ではスペシャルドリンクが登場するようです。
話は逸れてしまいましたが、この「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展、ポスターだけ見て、「洋服関係か〜。私には関係なさそう。」と思い、スルーしようと思いました。ただ、MSS-mini(年間パス)を持っていたので何となく行ったところ、想像を超える総合芸術展だったので、企画された学芸員さんのお話を伺いたいと思い、ブロガー内覧会に応募させていただきました。
洋服だけではない総合芸術の展覧会!
いつも通り、青い日記帳のTakさんの軽快な司会進行で始まりました。
「ポスターを見て、洋服の展覧会かと思ってスルーしようと思いました(笑)」というTakさん。私も全く同じ気持ちでした(汗)。
▼MCのTakさん、高橋館長、阿佐美学芸員、広報の方(お名前失念してしまいました。すいません)。
▼高橋明也館長と言えば、こちらの本。
とっても勢いのある文章で読みやすかったです。展覧会が始まる前、終わった後の舞台裏まで知ることができ、展覧会に携わる皆さんへの感謝の気持ちが募りました。若い頃に読んでいたら、美術館勤務に憧れたかも、とも思いました。
今回の展覧会まで、名前すら知らなかったマリアナ・フォルチュニですが、1871年に、 スペインのグラナダで生まれた、 カタロニア人、ガスティーア人のハーフ(スペインは小さな国が集まった共和国で、それぞれに歴史や文化が異なる)で、1874年に著名だった画家の父親マリアノ・フォルチュニ・イ・マエサルが36歳で 急逝し、1875年にパリに移住、その後1902年から1949までヴェネチアに住んでいた「アーティスト、デザイナーであり、発明家、パテントを守るビジネルマン、科学者などの面を持つアーティスト」だそうです。
今回の展覧会を担当された阿佐美学芸員より、展覧会の雰囲気を盛り上げてる照明についても説明が。この照明は、ヴェネチアのフォルチニ美術館にかかってるライトの精巧な模造品で、真鍮の枠組みに絹地を貼って、手描きで模様が描かれてるそうです(確かによく見ると、手描き!)。展覧会終了後に、ヴェネチアの美術館に飾られるそうです。本物になるんですね!
▼こちらの照明はフォルチュニ美術館で使用されますが、一番最後の部屋にある照明は、購入可能な商品で、小さいのは5万円だそうです。
▼この照明だと、ドレスやコートも映えますね。
繊細なプリーツを持つドレス「デルフォス 」は、女性をコルセットから解放した
ポスターでも印象的なデルフォスは絹サテンに繊細なプリーツをつけて、ガラスのボタンのようなもので、着る人によって幅などを調節できるドレス。
このドレスができた1906年頃は、女性はコルセットをしていたそうで、貴族だけでなく、普通の女性も自分でコルセットを着ていた時代。そんな時代にコルセットなしで着られるデルフォスは画期的だったそうです。ただ、「今の金額で、1着数百万円くらい」だそうで、伯爵夫人や王女が室内着として着ていたそうで、普通の女性には手の届かないドレスだったようです。
そんな《デルフォス》ですが、あのマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』にも登場するそうです。私は途中で挫折してしまったので、再挑戦する日があったら、、、。
また、今回の展覧会では、多くの《デルフォス》が展示されていますが、阿佐美学芸員曰く、「デルフォスの一番良いものは、日本にあるんです(キリッ)。」とのことで、展覧会会場でも、ほとんどの部屋に《デルフォス》が展示されている理由のひとつは、「絵画などの他の作品によって、デルフォスの印象が薄くなるのを避けるため」だそうです。
▼私は途中で挫折しました。ルネッサンスを復活させるドレスとして登場するらしいです。
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▼全14巻のようです。。。
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▼読破できる気が全くしないので、漫画で読破してから再挑戦しようかな。
▼くるくるっと丸めて箱に収納。コルセット時代の女性から見たら、夢のような軽いドレスですね。
ちなみに、右下のカードには、「洗濯はフォルチニの保証するニューヨークのクリーニングでないと、プリーツが取れてしまう」と書かれてます。えー!
展覧会担当の阿佐美学芸員は《デルフォス》に触れたことがあるそうです!
今回の展覧会を担当された阿佐見学芸員さんは、なんと!20歳の時、西洋工芸史の講義を受講した際、共立女子大の先生が本物志向で、できる限り体験させたい、とのお考えで、数人の学生のうち1名、そう、阿佐美さんだけにさわらせてくれたそうです。「羽のように軽く、柔らかくて光っていました。」とのことで、当時を思い出されて、うっとりされてました。
そんな阿佐美学芸員がご担当なので、今回の展示、気合いがすごいんですね。
ほぼ、どの部屋にも《デルフォス》が展示されているのですね!
つい最近、《デルフォス》に使用されている絹は、100年前の日本の北方面から輸出されたものだとわかってきたそうです。まだまだ新しい発見が続いているんですね。
そんな《デルフォス》ですが、展示入れ替えがあります。
共立女子大学、 石見美術館の 7点は、8月19日(月)に入れ替えとなるので、《デルフォス》が好きな方は、ぜひ、2回以上のご鑑賞を。
フォルチュニは絵も上手
父親であるマリアノ・フォルチュニ・イ・マエサル が、プラド美術館に作品が展示されてるような著名な画家であっただけに、フォルチュニは絵も上手(何も味のない表現でごめんなさい)。今回、たくさんのフォルチュニの絵画や版画も鑑賞することができます。
▼9歳の時の作品。溢れる才能。
▼《カーニバル》
この作品、一番好きになりました。
▼《アイリスと花々》
▼フォルチュニの絵の中に出てくるお花はどれも幸せな気持ちにさせてくれる感じがしました。
▼奥さんのアンリエットを描いた作品も多かったです(絵だけでなく、写真も!)
▼《バラ色の衣装のための習作》こちらも奥さんがモデル。
舞台照明のみで、初めて昼と夜を表現
今でこそ当たり前のことになっていますが、舞台照明でも、フォルチュニは画期的な発明をしています。
▼照明の色で、昼と夜に。
▼照明の配置(ロープでの移動)などを記した図面
▼ベルリンの舞台に使用されたクーポラの鉄の構造。大きそう。
▼バイロイト劇場の舞台模型!
模型に見えないくらい、背景がしっかり作られてると思いました。
そして、写真も天才的に上手い。。。
100年前とは思えない、今のファッション誌に載っていても違和感のない作品。
▼《デルフォス》にコートをまとったアンリエット。写真の構図も素敵ですし、何より、奥さんが好きなことが伝わってきます。
▼デルフォスを着たアンリエット。愛妻家なのが伝わってくる写真も多かったです。
▼空の写真。雲の厚さがヨーロッパの空という感じで、二次元なのに、奥行きを感じました。
《デルフォス》のプリーツ製作工程はいまだ解明されず
仲の良いご夫婦だったフォルチュニ夫妻。妻のアンリエットがデルフォスの製作をになっていたようですが、マリアノ・フォルチュニの死去後、《デルフォス》の制作をやめ、フォルチュニの資料などを廃棄してしまったそうです。
本当に悲しかったのでしょうね。
でも、制作工程は残してほしかったような。
▼織り機の設計図
▼招待状などに押された「フォルチュニ」スタンプ
▼プリーツの謎
ショップにはプリーツを再現しようとしたグッズなども
併設のミュージアムショップのは、フォルチュニ展にちなんだグッズがたくさんあり、発色が良いものが多いように見受けられました。
▼絹の糸の発色がきれい。
▼絵画作品や写真はポストカードに。プリーツを拡大しているポストカードも素敵でした。
▼多様なテキスタイルを使ったバッジ。かなり気になったので、次回には。
▼プリーツの再現をがんばっているポーチ、かわいかったです。
図録の表紙は《デルフォス》、裏表紙はヴェネチアの海の波。これは偶然ではなく、必然。
会場に見本が置いてあるので、ぜひ手にとっていただきたいのですが、今回の展覧会の図録、表紙は《デルフォス》のキラキラと輝くプリーツの拡大写真、裏表紙はヴェネチアの海の波の写真。高橋館長が、「今、気づいたんだけど、この図録の表紙と裏表紙って、、、」、阿佐美学芸員「そうなんです。マリアノ・フォルチニも、プリーツを波にたとえて、特許申請しているんです」だそうです!
ブロガー内覧会では、終始、阿佐美学芸員のフォルチュニに対する熱く、キラキラした想いが伝わってきました。
多くの作品があるにも関わらず、全く飽きずに鑑賞できた理由がわかったような気がします。
まとめ
この展覧会は、洋服だけの、いわゆるファッションの展覧会ではなく、フォルチュニという、総合芸術家による、総合展覧会です。1人の芸術家の作品展ではないかのようなボリュームと満足感!