日々に追われて、すっかり遠くなってしまった6月のフランス・オランダ旅行。
旅をして毎回、「ギャフン」(死語)と声に出して言ってしまいそうな出来事に遭遇します。
オルセー美術館にあの絵がない
6月にはもう、あの絵はありませんでした。
そう!ゴッホ作《アルルの寝室》。
そりゃそうだ。上野の国立西洋美術館「松方コレクション展」に展示されてるのですから。
▼大げさかもしれませんが、今年最高の展覧会の一つだと思います。いつも常設展で見てる方もぜひ。
▼ドラマチックにし過ぎてるかもしれませんが、松方幸次郎と周りの人々のタブロー(絵画)への熱き思いと、なぜ幻のコレクションになったのか、歴史的背景も学べる小説です。途中、何度も涙してしまいました。
《アルルの部屋》でないのなら、何がなかったの?と聞かれそうですが、この作品です!
ギュスターヴ・カイユボットの《床削り》。なんとモロッコに出張中でした。
この作品を初めて見た時、あまりに精巧な絵に、一緒にいた母と共に、「写真!?」と言ってしまったのを思い出します。よく見ると、腕が長過ぎですけど。
でも、きっとまた、どこかで会えることでしょう。また、オルセー美術館に来ることもあるでしょう(たぶん)。
▼この本、写真もきれいでいいよ、と思ったら、三菱一号館館長の高橋明也さんのご著書でした。私みたいな何もわからないひとの心も掴むようなご著書が多い。オルセー美術館で研究員をされていたそうなので、納得。
▼一押しの本。この本にもオルセー美術館勤務時代のお話が。
オルセー美術館であの絵に出会って「ギャフン」すぎた
▼フランス旅行前に何度も読んで、「有名な画家や彫刻家ってヘンタイすぎる」と思ったら、一番びっくりした絵と遭遇。
そう。あの絵です。とてもではないですが、プレビューできません。
ギュスターヴ・クールベ《世界の起源》。人がたくさんいるのに、全員無言なので、「えー。何の絵〜。なんで静かなのに、じーっと見てるの?」と思い、近づいて、
「ギャフン!!!」
自分からは見に行かないような作品に出会えるのも、旅の楽しいところ。
本当にびっくりしました。
『ヘンタイ美術館』を読んでびっくりして、1ヶ月後には、本物を見られた(見せられた?)のですから。
▼今年になり、モデルが判明したらしいですが、うーん。
「最もわいせつ」な絵画、ついにモデル判明 クールベ作「世界の起源」 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
マルモッタン美術館にあの絵がない
言わずもがな、あの絵です。
クロード・モネ作《印象・日の出》
出張中でした。名画ほど、忙しい。。。
「ギャフン」ですよ、本当に。
でも、めげませんでした。
なぜなら、4年前に東京都美術館で見ていたのです。そう、出張してくれる名画なので、日本で見られたのです。
今回の出張で、他の国の《印象・日の出》を見たいけど、海外旅行に行けない人たちが喜んでるはず!4年前の私のように。
▼すでに終了した展覧会ですが、とても良かったです。
▼新居に持ってきてないけれど、フランス旅行前に読んでおいて良かった作品集。絵の描かれた場所と時代がわかりやすい。
ランスのあの礼拝堂がおやすみ
これは5年前の前回のフランス旅行の話ですが、Reims(ランス)という、パリから鉄道(SNCF)で1時間ほどの街にあるフジタ礼拝堂を見に行ったのですが、残念ながら休館。かなりギャフンときました。
▼開館日、見学可能な時間を確認することを強くお勧めします。今年から礼拝堂の一部は写真撮影可能になったそうです。
結局、ランス(Reims)ではノートルダム大聖堂(ランスにもある!)、サン=レミ聖堂を見た後、お酒はほとんど飲めないのに、シャンパン工場を見学して、本場のシャンパンを2本買って帰ってきました。
カフェに入った際、相席になったチャーミングなおばあちゃまと話したところ、「日本人は日本から出ない人も多いのね!それは素敵だわ!私は国を追われて、仕方なく、英語もフランス語も覚えたのよ。」と言われ、当時も海外に出ることばかり考えていた私には目から鱗でした。
ギャフンのおかげで、Reims在住のおばあちゃまと話す時間を得られ、深い旅になりました。
残念ながら、今年もReims(ランス)のフジタ礼拝堂には行けませんでしたが、行けなかったところがあると、またフランスに来る理由ができました。
ギュターヴ・モロー展の有名な作品がほとんどない
だって、日本に来ているのだもの。
受付のお兄さんと話したところ、「ほとんどの作品が日本に行ってしまっているよ(笑)」とのこと。
▼現在は大阪のあべのハルカス美術館を巡回中!
▼続いて、福岡県へ巡回。
想像を超えるほど、"Tokyo Osaka Fukuoka" と書かれた、絵が留守になっている壁の面積が広かったです(大きな作品はさすがにモロー美術館に)。
「ここまで見に来たみなさん、ごめん。日本に展示し過ぎて。。。」と謝りたくなるほどでした。ある意味、貴重な展示光景だったかもしれません。
▼ギュスターヴ・モロー美術館、パリの住宅地にあって、螺旋階段が素敵でした。
まとめ
まとまった休みを申請して、貯金も使って海外旅行に行くからには、見たい絵を全部見て、したいことを全部したい、と思ってしまいがち。私もそうです。
でも、予想外の出来事に遭うのも海外旅行の楽しさのひとつ。事故や犯罪ではない「ギャフン」は楽しんでみませんか。
そして、出会えなかった作品、訪れることのできなかった場所には苛つかず、こう考えましょう。
「また来てね」ってメッセージをくれてるのだと。
そう思うようにして、また日々の労働と貯金と節約に励みます(苦笑)。