松屋銀座で開催の「今森光彦展 写真と切り絵の里山物語」のブロガー内覧会に行ってきました。
*全ての写真は特別に許可を得て撮影しております。
嬉しいことに、今森光彦さんご本人の案内によるギャラリートークという豪華な内覧会でした(ブログやってて良かったと思う瞬間!)。
こちらの展覧会も会期が短く、8日間のみです!
会期:2019年8月28日(水)-9月4日(水)
※9月1日(日)は19:30まで。
<最終日は17:00閉場・入場は閉場の30分前まで>
入場料:一般1,000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円
今森光彦さんて?
松屋銀座のサイトより。
1954年滋賀県生まれ。写真家・切り絵作家。大学卒業後独学で写真技術を学び1980年よりフリーランスとなる。琵琶湖をのぞむ田園風景の中にアトリエを構え活動する。自然と人との共存を里山というキーワードで表現し続けている。木村伊兵衛写真賞や土門拳賞ほか受賞多数。
え!木村伊兵衛写真賞や土門拳賞受賞!?めっちゃ、有名な方やん!
そんな方が目の前で、たくさんしゃべらはってる。
そう、今森光彦さん、お話好きな、めっちゃ関西のおじさま。
4つに分かれてる展示でしたが、どの章でも、途中で話を切り上げられてしまう今森光彦さん。お話が面白いので、ギャラリートーク、もっと長くしてほしかったです!!65歳には見えないかわいいシャツに、何よりスタイル抜群!同世代でもお腹出てる人が多いのに。。。
▼棚田を初めて見たのは、インドネシア(48回くらい訪問されてるそうです汗)。海外に行くことで、感覚的に、
「エキゾチックなものとして、日本の自然を捉えたい。新しい環境として見ていきたい。」
少しだけ海外に住んでいたのら博士は、この言葉に激しく共感してしまいました。
そして、今森さんのお名前を存じあげなかった頃でも、この本で、写真を拝見していたことが判明。
▼本屋さんで平積みになってて、ちょっとびっくりしたあの本(笑)!この写真を撮影されて、執筆されていた方でした。この表紙に記憶がある方は多いのではないでしょうか?
だれだかわかるかい?―むしのかお (かがくのとも傑作集 どきどきしぜん)
- 作者: 今森光彦
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1995/03/10
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 3回
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▼この本も本屋さんで手に取りました。この本も今森さんだったんだ。。。いとこの子供たちに贈りたいなあ。
里山は山ではない!
今回の参加者全員が驚いたお話は、「里山の山は概念的には山ではない。のら仕事ののら。エネルギーをもらって仕事をする場所。山だけなく、のら(仕事)をする場所、それが里山。人と自然が共生している世界。自然との共存から日本の芸術は生まれてきた。」
のら博士には、嬉しい言葉。のらって、良い意味だったんだ〜(妄想)。
▼里山の写真がとっても素敵で、写真に近づくと、土のかほりがしてきそうなくらい(実際は土のかほりはしないのですが、嗅ぎたくなる写真て、初めてでした)。
今森さんは、壊れていく里山を復元したい、そして、やるからには徹底的にやりたいと思ったそうで。。。
「開墾から始めた。」
これにはびっくり。実際に開墾されてる時のお写真も多く展示されていて、特に竹林との戦いは壮絶だったようです。竹って、成長が早いですし、根も立派ですもんね。
そこまでして滋賀県の琵琶湖の南側にある、1000坪足らずの土地を開墾して、雑木林を30年かけて作った目標は、庭に蝶々を呼ぶこと。呼ぶだけでなく、蝶々を生息させたいと思ったそうです。
蝶の種類によって、食べる植物が違うのですが(一応、のら博士は生物が専門なので知っとるのよ)、今森さんは、70種の蝶々を呼びたかったそうで、70種の植物を共生させる必要があったそうです。
そして今、70種を超える蝶々が生息しているんですって!すごーい!!
今森さんが、蝶のことを「蝶々」と呼んでらっしゃるところに愛を感じました。蝶々への愛!
▼蝶々を採取、そして標本にするまでの道具のお話をされる様子は、夏休みの昆虫少年そのものでした。牧野富太郎さんも使ってたという、今ではクラシックな道具となった胴乱も(牧野富太郎博士も使用されていたんですってよ)。
70種の植物を共存させるのにもご苦労があったようです。植物によって、適正な温度、湿度、土の酸性/アルカリ性など、好みが違いますから。
試行錯誤で植えられていったのだろうなあ。
▼そんな今森さんの作られた里山のにある庭が「オーレリアンの庭」で、オーレリアンとは、ラテン語で「金色」なんですって。これだけ手間暇かけて作った庭なら、黄金より、貴重です。
切り絵も凄すぎる!
実は、写真と切り絵を同時に展示されるのは、今回の展覧会が初めてだそう。外で撮影する写真と室内で制作する切り絵。「同じひとがやってると思われないことが多い」とのことですが、その両者をつないでるのが、「オーレリアンの庭」だそうです。
30年かけて作られた雑木林にある「みみずくハウス」の二階を切り絵の部屋にされてるそうです。窓が大きくて、とっても素敵!今回は、制作した作品で一番大きな作品たちも展示してくださってるそうですが、「ゆくゆくは屏風を作りたい」そうで、やりたいことがたくさんなんですね。色付きの作品は、全部市販の170色しかない、紙の色を生かしていて、一切、色を塗ってないそうです。塗らないことがこだわりで、なんと、道具は、ハサミ一丁のみ。
▼みみずくハウス内の切り絵部屋でのお写真も素敵でした。
▼これがその切り絵を生み出す、たった一つのハサミ(展示中は切り絵制作はお休みなのかな。写真家モード?ギャラリートークモード?)。
今森さんにとっては、0.3mmに切るのは、カッターよりハサミの方が楽だそうです。ハサミは手でちぎってる感覚の延長であり、有機的だそうで、確かに今森さんの作品は有機的、カッターの鋭い感じがなくて、柔らかい線という感じ。
今森さんは子供の頃から、ハサミ持つと手が勝手に動き出す感じで作品を作れるそうで、それは普通じゃない、と思いました。NHKでも切り絵教室の番組を放送されていたようですが、素人は真似できないような気もしました(汗)。
作品のモチーフは、里山に暮らす蝶々や植物、そして、海外の昆虫や植物も。
大きな作品は念入りに下書きして、イーゼルに乗せ、確認しながら制作されるそうです。一方で、黒の作品は繋げて制作してるそう。
▼黒猫、かわいい!
あと、面白いと思ったのが、植物が写実的なのに、「蝶々の動きはあえて止めてる。蝶々は飛ぶ時、しなってて、それが嫌い。ペタッとしてるのが好き。」という、完全な自分好みにしてるそうです(笑)。でも、写実的な切り絵の植物の中に、ぺたっとした蝶々がいるのは、ユーモラスなようで、思わず、蝶々に目がいってしまいます。
▼洋梨の黒い点々なんて、本物にしか見えないくらい。そんな中、蝶々はぺたっとしてて、かわいいです。でも、近づいて見ると、蝶々の羽の模様、触覚などへのこだわりが半端ないです。蝶々ヲタクです。
▼鳥も本物そのものの色使いと、柔らかさ。
被写体としての今森さんの笑顔が素晴らしい
写真家でいらっしゃると同時に、被写体としての今森さんのお写真が、どれも本当に素晴らしい笑顔で、こちらまで明るくなりました。お話をされてるときも、嬉しそうで、本当に里山、昆虫が大好きなのが伝わってきました。
もっともっとお話を伺いたかったけれど、まずはご著書を拝読しようかな。
▼潔い装丁ですね。
展覧会開催記念 今森光彦ギャラリートーク&サイン会の回数が半端ない
内覧会に行く前にサイトを見て驚いたのが、ギャラリートークとサイン会の数の多さ!8日間で7回ですよ!!
今回、お話を伺って、今森さんはトークが面白いので、みなさんにもおすすめしたいです!元気ない人は、元気をいただけると思う、そんなエネルギーのある、関西のおじさん(失礼!)です。
展覧会開催を記念し、今森光彦さんのギャラリートーク&サイン会を開催します。今森さんの貴重なお話しをうかがいながら、展覧会会場をまわる貴重な機会です。ぜひ、ご参加ください。
◆日時 全7回(各回約30分程度)
8月28日(水) 11:00から/14:00から
8月30日(金) 14:00から
8月31日(土) 11:00から/16:30から
9月1日(日) 11:00から/14:00から◆集合場所
展覧会会場内入口(展覧会への入場には、入場券が必要です。)※ギャラリートークが終わり次第、サイン会を行います。
※サイン会は、物販会場で購入されたすべての書籍を対象とさせていただきます。(当日、会場で販売いたします。)
※サイン会の対象は書籍のみです。
※ギャラリートーク&サイン会の予約は不要です。
場所は表山道の「クレヨンハウス」(私も大好き!)でも。私も行ってみたいけど、そう、キャリアコンサルタントの講義なんや(涙)。
宇宙で、地球で、科学がげんきだ! 科学絵本大集合の2019年夏!!
今森光彦さんスペシャルトークイベント◆日時
8月31日(土) 14:00-15:15
◆場所
クレヨンハウス東京店1F子どもの本売り場
◆参加費
無料<お問合せ先>
クレヨンハウス東京店1F 子どもの本売り場 TEL 03-3406-6492(11:00-19:00)
ehon@crayonhouse.co.jp
※土日祝日は10:30開店です。
▼グッズも豊富で、スマホケースがかわいかったのですが、iPhone 8 Plusには対応してなさそうで、残念。
▼こちらが新刊で、2700円です。
こちらのご著書では、開墾し、農地を取り戻そうと悪戦苦闘された物語が綴られてるようで、今日の笑顔の前には、たくさんの努力があったことが想像できます。
▼オーレリアンの庭の公式twitterもあり、NHKでは、あの8Kのために撮影されたり、とご活躍されてる様子も。
たった30分ほどのトークで人を笑顔にしてしまう今森光彦さん。
好きなことを苦戦しながらも楽しく続けてる方は、いい顔をされてますよね。