アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

ポストコロナ時代の美術館はどうなるのか?

仕事の締め切りに追われる1週間で、自分にはお客さんがいる仕事は向いてないなあと落ち込んだまま週末を迎えているMooiです。週末は美術館に行くことが多かったのですが、今では美術館どころか、外出も難しいですし。

そんな中、昨晩、コロナ後の美術館について、とても興味深いテーマがラジオから聴こえてきました。

特集「まもなく緊急事態宣言がすべて解除へ、今後の『美術館』のあり方とは?」

片岡真実さん(森美術館、国際美術館会議(CIMAM)会長 )×橋爪勇介さん(ウェブ美術手帖編集長)×橋本麻里さん(永青文庫副館長、ライター)×荻上チキさん 
radikoのタイムフリーだと、開始後53分頃から美術館関連のお話。

radiko.jp

美術館への簡易アンケート結果

美術手帖さんで、美術館関係者にアンケートを集計していたようです。

聴きながらメモしたので、漏れてる点も多いですが、

  • オンラインチケット(現状10%以下)
  • 来館者の情報把握
  • 消毒液確保は100%
  • 触れるメディアアートに対する衛生
  • スタッフの安全性に関する回答が90%以上→フェイスシールド の使用(片岡さん)、監視をロボットにできるのか試しにやってみることも必要かも(片岡さん)

大型の展覧会の際に作品の輸送に付いていくクーリエ担当

→TateやMoMAからも不要との声が(えー!って思ってしまいましたが。)

森美術館について

片岡真実さん、アジア初の国際美術館会議会長さんというニュースを拝読したことがありますが、論理立ててお話してくださっている上に、具体的な例を挙げてくださるので、私でもイメージが浮かびやすかったです。森美術家は「未来と芸術」の撤収から始まり、次の展覧会の会期を決める、そういうことから始めていかないといけない。53階にあるので、エレベータへの人数制限も考えなくてはいけなくなる、とのこと。
新型コロナウイルスが収束したら終わりではなく、撤収、感染防止、会期の見直し等、展覧会開催までには長い道の理があることを感じました。

森美術館で開催されていた「未来と芸術展」

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▼オランダ人留学生と行った「未来と芸術」展、まだあの空間にあるんだ。。。

www.mori.art.museum

音声だけのラジオで、(全く押し付けがましくなく、むしろ、そんなに大変な状況の中、鑑賞者側はどうすればいいだろうか、と考えさせるようなメッセージを出せるのがすごいと思いました。

森美術館のサイトに片岡館長の動画メッセージが掲載されてました(気付くのが遅い)!

www.mori.art.museum

視聴者からのメールによる質問コーナー

また、視聴者からの質問にも回答してくれてました。

1)視聴者「来館時にはいつもオーディオガイドを使っているのですが、今後は消毒が必要になるのでしょうか。」

片岡さんの回答

QRコードなどで解説をダウンロードしていただき、個人のスマホで聞いてもらうことになるかも」

3)視聴者「全てが予約になると、予約できないまま会期終了になる場合もでるのでは?また、人数制限は?」

片岡さん「動線が明らかなものはわかりやすい。自由に広いところで見る場合には鑑賞者の方々も周りの人に近づかないように、それぞれでソーシャルディスタンスを取ることをお願いしないといけなくなる。」

鑑賞者側も積極的に協力して、ポストコロナ時代も美術に触れる機会が増えるようにしたいものです。特に、これからの若いひとのためにも。

デジタルへの移行に関して

片岡さん「オンラインがリアルワールドに取って代われるとは思えず、それをいかに併用するか。長い解説はオンライン煮出して、あとでゆっくり読んでいただくとか。スケール感、素材感を感じる、振動、匂いのような五感への刺激はオンラインから伝わってこないので、展示で重視されていく。」

橋本さん「ニコニコ美術館はコロナ以前から実施してるのですが、コロナで(感染の流行に伴って)注目されたので、今後、より重要になるかもしれません。各美術館もyoutube等に動画を挙げてることが増えている。ただ、どういうやり方が魅力的なのか、意味があるのか、は考えていった方が良いかもしれない。」

荻上さん「あつまれ動物の森(ゲーム)と美術館が協賛していることについては?デジタルアーカイブのような役割は?」

橋本さん「今まで美術に触れてない方や機会がなかった方へのフックにはなったと思う。実物を見ることとは違うので実際に足を運ぶことにつながるかどうか。ずっと議論されてきましたが、展示以外にも、4つの柱となる役割があるので、アーカイブについても美術館の力が問われていくと思います。」

鑑賞者は

今後の美術館という場について

片岡さん「コロナの機会に、人間の生命の問題とか、生と死の問題、危機的な状況に、精神的にも追い詰められたので、根源的な問いについて、過去を学び、現在を観察して、未来を考えていくというような場に、美術館もなっていくことが必要。ポピュラリティーだけを求めるではなくて、より根源的な問いをゆっくり、あまり混んでない美術館でじっくり考えられるといいなあとと思います。

荻上さん「思索の場として大切ですもんね。」

今後はブロックバスター展のような、何時間も並ぶ展覧会が減り、予約制になって、展覧会に行ける回数は減りそうです。ただ、混んでいない分、鑑賞者側も、ゆっくりと味わって鑑賞するような、質の高い鑑賞にしていくのが重要なのかなと思いました。昨年はかなりの数の展覧会に行きましたが、ブログ等にまとめるのが追いつかず、消化しきれてなかったので、「思索の場」とフレーズが心に刺さりました。

今年1月下旬にオランダ人留学生と森美術館で開催中の「未来と芸術」展を見に行った際は、こんなに未来と芸術(展覧会鑑賞ですが)について考えることになるとは思いませんでした。オラン人留学生は2月に帰国し、夏にはオリンピックの報道ボランティアとして働く予定でしたが中止になってしまいました。オランダと日本の間の渡航も禁止になり、周りにもアジア国の一つである日本に行くことを止められてるのでは、と思いましたが、「機会ができたら、また日本に行きますよ。」とのことで、日本を好きなままでいてくれて嬉しかったです。また、彼のような、他の国のひとと美術館に行く機会が訪れるといいのですが。

▼未来感ある装丁でしたが、実際に展示に足を運んだ方が楽しい展覧会だったかも。


未来と芸術 Future and the Arts

▼3Dで展覧会会場を移動してるような体験もできるので、ぜひ。

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