アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

【映画】「なぜ君は総理大臣になれないのか〜誠実さを笑うか泣くか いまの日本が浮かび上がる〜」

音や光に若干過敏なので、映画館で映画を観る時は緊張するMooiです。

そんなMooiですが、この映画だけでは都知事選前に見たいと思い、都知事選前日でしたが、見に行ってきました。

主役の小川淳也議員は現在49歳。香川県高松市の出身で、32歳で東大から総務省の官僚というエリートコースを外れ、無所属で出馬した方です。

この初出馬から、17年間、政治家をしている小川淳也議員を追ったドキュメンタリー映画です。ご本人は主演(?)にも関わらず、制作に携わることがないどころか、この映画をご覧になってすらいないそうです。

▼公式サイトはこちら。SNSの口コミで公開映画館が51館(7/4現在)まで拡大中です!

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監督の大島新さんは、ご本人の意向なのか、あまり知られたくないのか、記載は少ないのですが、あの大島渚監督の次男です。毎週のように、twitterでもトレンド入りするフジテレビの『ザ・ノンフィクション』も担当されてるようです。映画を見た後に知りましたが。

▼ヒューマントラスト有楽町にて鑑賞

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冒頭は、これから初出馬する小川議員に取材する大島監督の映像から始まります。小川議員の「政治家を笑っているうちはこの国は絶対に変わらない」という言葉でいきなり頭をガーンとやられた気がします。小泉劇場以来(小泉純一郎元総理大臣によるパフォーマンスが激しい政治活動)、ワイドショーで政治家をキャラとして笑ったり、罵るような場面をよく見かけます。

私はその場面に一度も笑ったことがない、と言い切れません。吹き出したことも、コメンテーターのセリフに怒りを感じたこともあります。

いつの間にか政治家に期待しないどころか、無関心にすらなりつつある自分に気付きました。実は私は自然科学系の研究をする前は、法学部政治学科に所属していました。政治学の基礎ゼミでは当時、新しい層として考えられていた「無関心層」のレポートなどを書いていました。その際、資料を読むうちに、日本の政治に絶望してしまい(早すぎ)、投票には行くものの、政治を避けるようになっていってしまっていました。

▼授業かゼミで最初に読んだこの本で政治や官僚が嫌になってしまいました。

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 小川議員のまっすぐで誠実な性格、理想を目指して頑張っている姿に対し、「無理だよ。変わらないよ。」と思ってしまう自分がいました。でも、映画を見続けるうちに、「いや、こういうまっすぐで誠実、統計も調べてるような実直な議員が党内では出世できない、今の日本の政治ってなんだろう?」と疑問が湧き上がってきました。

同じ回に鑑賞されていた方のtweetを見つけ、自分の疑問が具体的になり、すっきりしました。

初出馬の際、まだ小さかったお嬢さんたちは、お母さんと離れるのが辛くて泣きながら、おばあちゃんのお家に預けられていました。小川議員の手伝いに行く奥様も辛そうでした。でも、10数年後、「政治家にはなりたくない。政治家の妻にもなりたくない。」というお嬢さんたちが、お父さんである小川議員の選挙に積極的に付き合い、党を変えて、有権者に叱咤されてるのも目の当たりにし、辛い思いをしながらも、お父さんが落選した時は、涙する姿には、こちらまで泣いてしまいました。この落選には現都知事小池百合子さんの起こした「希望の党」による野党分裂劇が関わってました。落選後、小川議員は比例選挙制度で当選するも、「希望の党」には入らず、無所属で活動。

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最後の方で小川議員が自宅で奥さんと夕飯を取るシーンが出てきました。厚揚げを見ながら、「これ、本当に大好きなんです。焼くとかそういうことしないで、レンジでチンするだけでいいの。」と美味しそうに食べてる姿。そこには、美容院の息子さんとして、普通のお家で育ってきた、同世代の男性の姿がありました。このシーンにもなぜか涙が出てきました。あのまま、官僚のままで生活していれば、ご本人も奥さんやお嬢さんたち、ご高齢になられたご両親たちも穏やかな日常を送ってたんだろうなあ、と。中学の同級生の方も選挙カーで回りながら、「なんでこんなに騒音出して、車のスピードも下げて危ないのに、こんな方法しかないんだろうね。でも、この方法しか今はないんだろうね。」みたいな疑問を抱きながら過ごすこともなかったのに。

途中、大島監督も小川議員のご両親も、「(小川議員は)政治家に向いてないのでは。」とおっしゃってます。私もそう思ってしまいました。

仲の良い家族、そして、支える友人や関者の波乱の17年間のドラマでもありました。

映画のポスターにある「誠実さを笑うか泣くか いまの日本が浮かび上がる」という言葉は、有権者に突きつけられているように感じました。

政治不信に陥ってる人はもちろん、それを超えて政治に無関心になってしまった方にこそ、見ていただきたい映画です。

誠実でまっすぐなひとを見ると、「政治家には向かない」と自動思考に達してしまう社会って、正しいのでしょうか。

「政治は勝った51がどれだけ残りの49を背負えるか」

選挙でギリギリも当選すれば、自分に投票しなかった人たちは忘れてしまう方が楽なのに、小川議員は自分に投票しなかった人たちのことにも思いを馳せる。

映画を鑑賞中、自分の政治や物事に対する姿勢について、誠実であったか、何度も問い直してしまう映画でした。

 

amzn.to

▼映画館に貼ってあった記事。「政治に必要なのは『したたかさ』」という記事のタイトルですが、この『したたかさ』が現職の都知事の「希望の党」時代の振る舞いを指しているので、この時期に見てよかったです。

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AERAでも特集が

昔、谷垣元総裁のお嬢さんと知り合いという友人が「お父さんは総理大臣には慣れないと思うの。だって、いい人すぎるもの。」とおっしゃってたというのを聞いたことが。

小川議員もいい人そうで総理大臣になれなさそうですが、娘さん達が応援してくださってて、選挙のシーンは辛そうでしたが、ご家族が味方でよかったなあと思ってしまいました。

dot.asahi.com

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こんな時代なのでデジタル配信が決まったそうです!しかもバリアフリー上映も。

さらに8月1日は、バリアフリートークイベント付きだそうです。

※ 本編はバリアフリー版での上映となります。
(日本語字幕付き、音声ガイドは「UDCast」対応)

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▼他の日のオンライン上映はこちらから。

udcast.net


NHKアナウンサーの堀潤さんのyou tubeにも小川淳也議員が登場。すごく真面目で映画と同じだった。。。心配になった。

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せやろがいおじさんも観てた!

政治関連で面白い動画を配信している「せやろがいおじさん」もこの映画を見て、コメントを出されてました。