アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

コロナ禍での銀座の強さ、柔軟さを垣間見る

東京の新型コロナウイルスの感染者数の更新に慣れてきている自分が怖いMooiです。

キャリアコンサルタントの養成講座が銀座にあったこともあり、緊急事態宣言前はほぼ毎週、銀座に通っていました。

週末の外出自粛要請期間中、通院のため、一度だけ銀座に出ましたが、閑散としていて、なぜか防護服を着た女性がひとり、「マスクあげます。」というポスターを体に貼って歩いている、ディストピアな光景に遭遇しました。

「祖父母や両親との思い出がたくさんある銀座がなくなる。」と妙な危機感にかられましたが、そんなことでなくなる銀座のはずはなく、むしろ、老舗の強さや柔軟さを感じる機会となりました。

日本最初のフリーペーパー『銀座百点』は名物の対談がなくても「すごいピンチヒッター」を呼べる!!

日本最初のフリーペーパーである『銀座百点』。銀座のお店の店頭やレジ横などで見かけることが多く、フリーペーパーといえど、定価は275円(税込)なので、戴く前に、お店の方に確認するようにしています。

横開きの珍しいフリーペーパーで、写真やイラストよりも文字が多く、正直、ぱっと見は、あまり一般受けしなさそうな印象です。

▼小さくてかわいいのですが、横開きなので、鞄の中で折れないように、A4クリアファイルに入れて持ち運びます(何度も折れてしまったことが。)

f:id:Berlaarstraat0707:20200713113931j:plain

ホームページより、『銀座百点』の歴史や思いを知りました。

編集室からのごあいさつ
「銀座百点」は1955年(昭和30年)に創刊されました。
銀座のかおりをお届けする雑誌として、情報だけでなく、銀座の文化を表現することにポイントを置いて編集しています。
中でも各界の有名人によるエッセイ、座談会は読み応え十分です。
創刊号から久保田万太郎吉屋信子源氏鶏太ら著名なメンバーが執筆陣に加わり、その伝統は現在まで受け継がれています。
また、小誌の連載からは向田邦子「父の詫び状」、池波正太郎「銀座日記」、和田誠「銀座界隈ドキドキの日々」などベストセラーがたくさん生まれています。
女性スタッフが銀座じゅうを歩き、アンテナを張り、ない知恵を絞って毎月の企画をたてています。
銀座の街で、ぜひお手にとってお読みください。

「情報よりも文化」、「女性スタッフが銀座じゅうを歩き」という、他のフリーペーパーにはない表現も多々。上記のように、著名人が寄稿しているエッセイなどは一級品のものが多く、単行本として発刊された後の方が有名で、『銀座百点』で連載されていたことを知る人の方が少なさそう。

 

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

新装版 父の詫び状 (文春文庫)

  • 作者:向田 邦子
  • 発売日: 2005/08/03
  • メディア: 文庫
 

 

▼ホームページも地味で、昔のHTMLを思い出す。

www.hyakuten.or.jp

そんな『銀座百点』の名物連載のひとつが、「百点対談」です!毎回、かなりの大物同士のボリュームのある対談が繰り広げられるのですが、新型コロナウイルスの影響で対談は中止。他の雑誌なら、「休載」となるところでしょう。

ところが、そこは老舗の『銀座百点』さん。エッセイストで紅白歌合戦の司会もされたアナウンサーである山川静夫さんという大物ストッパーに、誰もが知る名歌舞伎役者・十二代目市川團十郎さんの日常を語らせるという粋な計らい。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713113937j:plain

 最初から、市川海老蔵さんへの期待の言葉。

海老蔵の眼力はまったくすばらしい。その眼をぞんぶんに生かした「見得」は、だれもが感動する。そんな眼と用紙を生かした演技はみごとである。しかし、海老蔵の目指すべきは、父親・十二代目市川團十郎の誠実な「人間性」だろう。手本にして歌舞伎の将来を背負ってほしい。

 では、十二代目・市川團十郎さんの誠実な「人間性」とは?と気になり、一気に読んでしまいました。山川さんと市川團十郎さんがこんなに親しかったことなどもちろん知らなかったし、こんなに素敵だった十二代目・市川團十郎さんと同じ時代に生きていたにも関わらず、その舞台を見なかったことが悔しくなったほどです。エッセイの締めには、市川團十郎さんとの別れ、 勸玄 くんの八代目新之助襲名への思いで締めくくられてました。

いつもの「百点対談」もいいですが、銀座にゆかりのある著名人との思い出を温かく語ってくださるようなエッセイもいいな、と思いました。

 

十二代目市川團十郎 (演劇界ムック)

十二代目市川團十郎 (演劇界ムック)

 

 

 廃棄される予定だった花々も、銀座では美しく華やかに、新しい生活様式とともに永遠の命を得る

緊急事態宣言が解除された後、GINZA SIXにいくと、数ヶ月ぶりの再開で、派手目の花が飾られてるのかな、と思っていましたが、客をで迎えているのはスモーキーなドライフラワーのような花のタワー。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713094849j:plain

2階の案内カウンターにも(許可を得て撮影)。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713094918j:plain

近くと立体感があり、迫力があります。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713094914j:plain

 この大きな花のタワー、実は廃棄予定だった花を「ドライフラワー」にしたもの。新型コロナウイルスによって、出荷される予定だった花が大量に廃棄予定となり、「フラワーロス」という状況になったため、この花たちをどうにか救えないか、とうことで、ドライフラワーにして、インスタレーションとして展示されることになったそうです。第二の命を与えられた花々。優しい表情です。

このインスタレーションに込められた、フラワークリエイター・篠崎恵美さんの言葉。

たくさんの小さな花が集まり、大きな一つの漂うような花塊となるインスタレーションに、私達一人一人が力を合わせて日常を取り戻す願いと希望を込めました。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713094847j:plain

ドライフラワーにすることで、展示が終わった後も廃棄されず、飾られていくようです。

フラワーロスを防ぐ、ドライフラワーでできた花束なども新しい生活様式として取り入れられていくのでしょうか。

2020年7月末頃まで、GINZA SIXで歓迎してくれます。

openers.jp

GINZA SIXがオープンするとき、トータス松本さんx椎名林檎さんという豪華なお二人でテーマソングも登場して、アベノミクスもあり、経済も上がるのかなあ、なんて感じたのを思い出します。

youtu.be

 

目抜き通り

目抜き通り

  • 発売日: 2019/11/13
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 銀座が銀座である理由は柔軟性

私が子どもだった昭和50年代は、銀座といえばデパート、歩行者天国、ワンピースを着て出かける街、そんな印象でした。この40年近くでも銀座は大きく変わり、思いつくだけでも、GINZA SIXのある場所にあった松坂屋の閉店、ユニクロソフトバンクの進出、mosaic銀座の閉店からの東急プラザ銀座のオープン、ソニープラザの閉店(現在のソニーパーク)があります。昔の銀座を知るひとたちが「銀座もおしまいだねえ。」なんて言ってるのも耳にしました。でも、今回の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言では、銀座の強さを感じる機会を得たような気がします。老舗のお店がなぜ経営を続けていられるのか、久兵衛のような名店がいち早くアプリ「menu」によるデリバリー(お寿司は配達もしてましたが)を取り入れたり、『銀座百点』に載せる広告も、いつものちらし寿司の写真から、緊急事態宣言下でも対応可能な海苔缶とお食事券に切り替えたり。松屋銀座もネットショッピングを取り入れたり(最初は30商品くらいだったけれど、それもご愛嬌)、また、クラウドファンディングで寄付を募るお店も何軒か見かけました。「銀座のお店ってプライド高いんでしょ?」、そんな偏見を吹き飛ばすかのような、まだ若いお店のような必死さ、新しいものを取り入れて乗り越えようとする貪欲さ。お客さんはもちろんですが、従業員の方、そして伝統や文化を守ろうとされているのでしょう。
確固たる守るべきものがあると、強い。

 

 

 

▼出社日の帰り、久しぶりに銀座でお茶しながら本を読みました。日が長くなって、換気のため、窓が開放されているからか、夏を感じました。

f:id:Berlaarstraat0707:20200713094725j:plain

炭火焙煎珈琲. 凛 本店 | くつろぎとぬくもりのカフェ凛 こだわりの炭火自家焙煎コーヒー | COFFEE RIN