アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

【新宿から豊田市美術館へ】生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて 

コロナ禍に加え、地震も増え、不安な日々が続きますね。

そんな憂鬱な日々に彩りを添えてくれる展覧会が始まりました!

日本では23年ぶりとなるオランダのピート・モンドリアンの作品を中心とした展覧会「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」です。

コロナ禍で次々と海外作品の展覧会が延期や中止になる中、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品50点が来日しています。

さらにアムステルダム市立美術館、ファン・ナッペ美術館、京都国立近代美術館東京国立近代美術館、アーティゾン美術館、DIC川村記念美術館、豊田氏美術館所蔵のモンドリアンと関連作家の作品が展示されています。

*許可を得て撮影しております。

概要(緊急事態宣言により臨時休館していましたが、6月1日再開。6月6日閉幕)

会期:2021.03.23(火)06.06(日)

開館時間:10:00 - 18:00(入館は閉館30分前まで)

休館日:月曜日

*日時予約制です。

↓公式サイトはこちらです。

[blogcard url="https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/mondrian/"]

豊田市美術館

もうすぐ豊田市美術館で開催されます! 2021年7月10日(土)-9月20日(月・祝)

[blogcard url="https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/mondrian"]

モンドリアンも風景を描いていた!

モンドリアンは、1872年オランダのアメルスフォルト生まれで、20世紀はじめに抽象絵画を描いた最初の画家のひとりです。

私も抽象絵画の印象が強く、11年前にオランダに住んでいた際にハーグ美術館を訪問した際に知ったのですが、モンドリアンも風景画を描いていたんですね(無知)。

↓オランダ在住のアルト・オランダさん(@Artoshack)が投稿されていた、現在のアメルスフォルトの様子です! モンドリアンのお家(Mondriaanhuis)も映っています!

 

▼作品を描いた地名が壁に記されているので、会場内の地図と合わせて、モンドリアンの足取りを追っていけます。

左側の煙突が目立つ作品《王立蝋燭工場》ですが、最初に見た時、「なんだか変だなぁ。下半分がつるんとしてる感じがする。」と思っていたところ、

川面には煙突は映っているのに、雲は映ってないんです(解説より)!第一印象の違和感には何か理由があるものですね。

茶色が基調の風景がが続きますが、農村の絵もあります。

また、複数枚あるヘイン河畔の絵を見て、アムステルダムのトラムの終点駅ヘイン(Geinと)関連あるのかな、と思い、地図を検索してみました。

ヘイン川の近くに、「ゲイン」という地域があるようです。住んでいた割に当時は仕事に追われて何も深く考えなかったこともわかりました。 オランダ語では、Geinは「ゲイン」ではなく、「ヘイン」に近い発音になるので、"Gein"とあるのに、日本語訳が「ヘイン」になっています。

[blogcard url="https://bit.ly/3sgx7S2"]

今回の展覧会では、風景画の割合がかなり多いので、パリに渡る前のモンドリアンと一緒にゆっくり旅しているような気がしました。

勝手に都会っ子だったと思っていましたが、全然違う、素朴な印象も受けました。

色々な人の影響を受けながら,自分の画風を探求していく!

《木》は、背景が波立っていて、ゴッホの糸杉の絵を思い出しましたが、ゴッホにも影響を受けたのでしょうか。 隣の《少女の肖像》は、顔や首に青色が使われており、これはドイツの詩人で色彩理論家でもあったゲーテの影響だそうです。

ゲーテには詩人のイメージしかなかったので、色彩理論家であったことを初めて知りました。

▼《木》(1908年)と《少女の肖像》(1908年)

今では当たり前のように感じている目の感覚は、ゲーテが最初に発見したんですね!

ある色の形をじっと見つめて、急に白い紙に目をうつすと、同じ形が別の色で見えます(図1)。同じグレーの同じ形が、背景の色によってちがう色に色づいて見えたりします(図2)。 このようなことも、ゲーテはするどく観察して発見していました。 キヤノンのサイトより引用

[blogcard url="https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_04_10.html"]

今回の展覧会では、いろんな画家などに影響を受けて、自分の絵を探求し続けて変化していくモンドリアン作品の変遷の軌跡も追うことができます。

砂丘揃い踏み!!

アーティゾン美術館に変わる前のブリヂストン美術館によく通っていたので、「あのモンドリアン作品もいるかも!?」と期待していましたが、いました!

砂丘揃い踏み!点描の影響を受けている砂丘。個人的に好きなシリーズなので、日蘭の三作を同時に見られるなんて感動でした!

▼《砂丘I》《砂丘III》(1909,デン・ハーグ美術館)と《砂丘》(1909,アーティゾン美術館)

人物画の画風も様変わり

▼《女性の肖像》(1912)と《風景》(1912)

《女性の肖像》は、先ほどの《少女の肖像》と同じ画家が描いているとはわからないほど画風が変わっていますね。キュビズムの影響を受け始めた頃の作品のようです。

一方で、《風景》は、私でも「四角形で描いてて、セザンヌっぽい。」と感じたほど、セザンヌぽい作品です(解説にも記載がありました)。

デ・ステイル」の活動と脱退を経て、自分の画風を確立していく

そんなモンドリアンは、第一世界大戦の中、テオファン・ドゥースブルフとともに「デ・ステイル」(De Stijl: オランダ語で「スタイル」)という活動の中心となり、調和と秩序の理想を目指し、垂直方向と並行方向のコンポジション、白と黒以外は原色へと向かっていきます。

▼テオファンドゥースブルク《コンポジション XXII》(1922)とバート・ファン・デル・レック《コンポジション

そして、私の初めて知ったモンドリアン作品のイメージに近い画風、コンポジションシリーズへと変化していきます。

▼《格子のコンポジション8-暗色のチェッカー盤 コンポジション》(1921)と《赤、青、黒、黄、灰色のコンポジション》(1921)

デ・ステイル」(のメンバーで、建築家でもあるリートフェルトの椅子もたくさんありました!

こちらの椅子は豊中市美術館の所蔵だそうです。

しかし、1925年にモンドリアンはドールブルフと対立し、「デ・ステイル」を脱退してしまいます。

しかし、リーダーであるドースブルフの考えは、絵画よりもむしろ建築を重視し、1924年には、垂直と水平だけでなく、対角線を導入した要素主義(エレメンタリズム)を主張した。 Wikipediaデ・ステイル」より引用

[blogcard url="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%AB"]

▼脱退後に、よりミニマリスティックになった作品とシンプルなアトリエ

《線と色のコンポジション:III》(1937)とアンドレケルテス《モンドリアンのアトリエ》(1926)

また、モンドリアン夫妻の写真なども展示してあり、日本にいながら、モンドリアンの人生を学べる貴重な展覧会となっています。

会場内では、リートフェルトシュレーダー邸の映像が流れてます。

2010年の冬、Mooiがアムステルダムに住んでいる時に見に行った、ユトレヒトからバスで20分ほどのところにある世界遺産リートフェルトシュレーダー邸の写真です。

会場の映像の通り、忍者屋敷みたいに部屋の仕切りを動かして階段が見えたり、部屋を小さくできる、日本の昔の家にも似た、機能的な邸宅でした。

ユトレヒト郊外にあるリートフェルトシュレーダー邸は2010年に向かった際にはすでに予約制でした。

シュレーダー夫人とお子さんたちだけのお家だったので、イメージして居る外国の家よりはずっと小さいので、10名くらいしか入れません。

コロナ明けの海外旅行先に加えてみてはいかがでしょうか。

こちらのサイトで、会場で流れている映像と同じ映像を見ることができます!

[blogcard url="https://www.rietveldschroderhuis.nl/en"]

グッズも豊富です!

▼色の数が少ないので、洋服にも合わせやすいモンドリアン作品グッズが豊富でした!

コロナ禍らしく、マスクまで!「砂丘マスク」,購入すればよかったかなあ(と今,後悔中。)

撮影スポットではリートフェルトの椅子に座れます!

撮影スポットが設けられており、リートフェルトの椅子(複製)に座ることができます。子供用の椅子もあるので、ご家族でいらっしゃっても楽しめます!

イヴ・サンローランのワンピースまであり、力の入れようを感じるスポットでした。もちろん、私も撮影しましたよ〜。

友人のケロケロみんさんによる展覧会の紹介ブログがかなり詳しくて、おすすめです!

内覧会には友人のケロケロみんさんも参加されていたのですが、私と違って、モンドリアン愛が溢れていて、知的な記事になっています。

会場に向かう前に一読されると、作品を見る目も変わるかも!

[blogcard url="https://ameblo.jp/tomomin-1212/entry-12663934582.html"]

会期終了後は愛知会場に巡回予定だそうです。

愛知会場に巡回する頃にはコロナ禍が落ち着いて、もう少し自由に移動できるようになっているといいですね。

コロナ禍にも関わらず、来日してくれた作品群と貸し出ししてくださった美術館、そして何より、主催のSOMPO美術館に感謝!

コロナ前は海外から作品がやってきて、大規模な企画展が行われるのが普通のこととなっていました。

しかし、新型コロナウイルスが流行して以来、海外からの作品の貸し出しが相次いで中止になり、SOMPO美術館の「ゴッホ静物画」展は、フライヤーが広まり、アムステルダムゴッホ美術館とのコラボグッズなども出回っていたにも関わらず,中止になってしまいました。「中止」「延期」のお知らせに何度,気分が沈んだことでしょう。そんな中、海外への貸し出しをしてくださったデン・ハーグ美術館を中心とするオランダの美術館、そして、貸し出してもいいという長年の信頼関係を築いてくださったSOMPO美術館。

日本では23年ぶりのモンドリアン展。まさに多くの美術ファン待望の展覧会です!コロナ禍の新宿なので、来館を強くはお勧めできないのですが、来館の際は感染対策をされて、多くの地を渡ってきたモンドリアンと一緒に旅行気分にも浸っていただきたいです。

↓2019年にオランダのクレラー=ミュラー美術館に行った際の記録もご参考になれば幸いです。こちらにもモンドリアンの作品が所蔵されていました。

[blogcard url="https://mooi-desu.com/entry/2019-10-22-205616"]

また、オランダ関係の知人より、こちらのロッテルダムのカフェもモンドリアンだね、と報告を受けましたので、リンクを貼らせていただきます。

[blogcard url="https://www.holland.com/global/tourism/destinations/rotterdam/de-unie-1.htm?fbclid=IwAR1natDfy-4y5_epH0hMlj_lkeRgOfszjjxQOw5TvU1lGf9PorXMWabFIao"]

オランダのことを知りたかったら、アルト・オランダさんのブログが最適です!

クレラー・ミュラー美術館に行く際にも参考にさせていただきましたが、オランダで観光ガイドもされているアルト・オランダさんのブログがわかりやすくて、おすすめです。

「ガイドブックにも載っていない、ミッフィースポット」など、魅力的な記事が満載です。

[blogcard url="https://artoexplore.net/miffy-spot/"]

こまめに情報を更新してくださっているので、旅行に行かない方でも楽しめます。

[blogcard url="https://artoexplore.net/"]

初日にはオランダ大使も来館されました。 https://twitter.com/OrandainJapan/status/1374315039025471488?s=20 追記:

オランダ大使館へチューリップ鑑賞に出かけました。

オランダのチューリップ畑はモンドリアンコンポジションシリーズに似ているなぁと感じました。

[blogcard url="https://mooi-desu.com/entry/embassy_nl"]