アーモンドの花を探しに

アムステルダムに住んでいたのら博士(理学)のMooiが好きなことやひとりごとを書いてます。2020年4月に国家資格キャリアコンサルタントを取得し、お役に立ちたいと考え中。

【外苑前〜青山〜渋谷など】水の波紋2021 キュレーターツアーは、地元っ子が案内してくれる街の歴史と移り変わりでした

 

緊急事態宣言下で迷いましたが、少しでも移動時間を短くするため、ワタリウム美術館館長と巡るキュレーターツアーに参加してきました!

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展覧会概要

水の波紋展2021 消えゆく風景から ー 新たなランドスケープ

参加アーティスト

クリスチャン・ボルタンスキー / デイヴィッド・ハモンズ / 檜皮一彦 / ホアン・ヨンピン / ファブリス・イベール / JR(ジェイ・アール) / 柿本ケンサク / 川俣正 / フランツ・ウエス / バリー・マッギー / フィリップ・ラメット / 名もなき実昌 / 坂本龍一 / アピチャッポン・ウィーラセタクン / 笹岡由梨子 / SIDE CORE / 竹川宣彰 / トモトシ / UGO / 梅沢和木 / 山内祥太 / Yotta / 弓指寛治 / 渡辺志桜里 / ビル・ウッドロウ

会期:202182日(月) 〜95(日) 会場:東京・青山周辺 27箇所〔岡本太郎記念館、山陽堂書店、渋谷区役所 第二美竹分庁舎、テマエ、ののあおやまとその周辺、梅窓院、ワタリウム美術館とその周辺〕 鑑賞時間:11:00-19:00岡本太郎記念館10:00-18:00、山陽堂書店は平日11:00-18:00・土11:00-17:00 休日:会期中無休(ワタリウム美術館は月曜休館、岡本太郎記念館は火曜休館、山陽堂書店は日祝・8/8 - 8/15 休廊) 料金:無料(ただし、ワタリウム美術館岡本太郎記念館は入場料が必要です) JRの「インサイドアウトプロジェクト(フォトブース)」、Yotta(ヨタ)の「青空カラオケ」ご利用には事前予約が必要

「わけのわからないことってこんなに大事なんだ」経済学者・米倉誠一郎

10分間程度の動画ですが、内容ぎっしりです。このような状況下なので、来訪できない方も是非ご覧ください。

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「子供たちに自由や喜びのようなものを伝えてくれることを願って」和多利恵津子

「無くなったら寂しくなることは目に見えているんですけれども、それでも、いっときでも提案できることはよかったなと」和多利浩一

昨年のワタリウム美術館クラウドファンディングが大盛況だったのは、館長さんたちが常に周りの人が楽しんでくれることを考えて、運営してくださってるからなんだなあ、と実感しました。

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青山っ子からの贈り物

奇をてらったような展覧会に見えましたが、そこにあったのは、青山っ子たちの地元愛、歴史でした。そして、若い人たちにつないでいきたいという想い。

ワタリウム美術館を運営されている、和多利浩一(61)さん、姉の和多利恵津子(64)さんは、青山で育った青山っ子。

前回の東京オリンピック開催時、弟の浩一さんは4歳であまり記憶がなかったそうですが、姉の恵津子さんは中学生で、新幹線、高速道路、そして、街の活気を感じ、これから街が良い方に変わっていく様子を感じていたそうです

それは今回の東京オリンピックではコロナ禍の中、オリンピックを契機に良くなっていく実感もなく、という状況を感じ、思い切って1995年に途中で諦めてしまった水の波紋1995の一部を復活させつつ、東京に物申すような若い芸術家の作品を積極的に展示しているようです。

今春開催された「まちへ出よう展 ~それは水の波紋から始まった~」展で、1995年の水の波紋展を振り返られたようで、向かえなかったのは残念でしたが、今回のキュレーターツアーでお話を伺うことができ、すっきりしました。

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キュレーターツアーは地元の人に案内してもらう、青山〜渋谷〜外苑の歴史と現在、そして、なんだか変なものたちとの思い出作り

作家さん自ら解説してくださることも!

私の参加した8月28日(土)16時〜のキュレーターツアーでは、和多利恵津子館長がキュレーターで、作家さんたちが解説も行なってくださいました。恵津子館長、とっても気さくで、永遠の少女という感じの方でした。最初に参加者に作品を見てもらい、その後で作品解説、作家さんのお人柄紹介などをしてくださいました。質問も気軽に受け付けてくださり、大学生くらいの男性が緊張しつつ、嬉しそうに、「昨日、ラジオで拝聴して面白かったので、ツアーに申し込みました。」と話しかけると、「あら〜。」と喜ばれてました。すぐに申し込んだ男性の行動力もすごい。

青山通りにある1891年創業の山陽道書店では、「山陽道書店130年の歩み展」が開催中で、その中に「水の波紋2021」に参加中の弓削寛治さんの作品も展示されています。弓削さんは1945年の山の手空襲を題材とした作品を制作されていて、天井には付箋に描かれた464機の飛行機があり、上を見上げて、焼夷弾を落とされた青山に住む人の視点を表現し、制作された当時の青山のジオラマを上から見て戦闘機側の視点を表現されています。

山の手大空襲の片付けを行った久保ヨシ子さんにもお話を伺ったところ、「(熱耐性の高い)お風呂や台所のタイルがたくさん落ちていてキラキラしていてきれいだった。家を建てるなら、タイルを使おうと思った。」という実際の体験者の話に感動され、ののあおやまには、タイル作品が隠されている。会場でいただいた地図を見ながら、タイル探し(小さいものも大きなものもあります!)を楽しまれてはいかがでしょうか。ただ、蚊が多いので、虫除け必携です!

ののあおやまには、柿本ケンサクさんのAIを通じて制作された作品も展示されています。

 

旧港区立児童館奥(三角公園)にある、檜皮一彦さんの車椅子40台を組み合わせた《hiwadrome re[in-carnation]》in-ca-nationの意味は「輪廻」。

ご自身が車椅子を使われているそうですが、多くの作品では車椅子を逆さまにされてるそう!恵津子館長曰く「とにかく力強い人」だそうです。

ワタリウム美術館地下一階に展示されているこちらの作品もよく見ると、車椅子を逆さまにしている!!

「くじら公園」をはじめとする近隣は、和多利館長姉弟がよく遊んだ、欠かせない場所だそう。梅沢和木《くじら公園・アラウンドスケープ》の展示会場のひとつテマエ2Fでは、和多利館長姉弟の思い出、恵津子館長の恋話も掲示されていて、「恥ずかしいわぁ〜!」と破顔されてました。そのご様子がとってもかわいかったです。

山内祥太《我々は太陽の光を浴びるとどうしても近くにあるように感じてしまう。》

この作品、売却で話題になったavexの自社ビルの目の前にあります!山内さん自らが熱く語ってくださいました。「他人の意見や考えをゴリラが痒がってる皮膚に反映していて、ピュアな状態として現代人の肌の色として表現してみたんです。」(メモ書きなので、お話そのままではありませんが)

そんな熱い解説も、「時間は来たから、またね!」とぶった切る恵津子館長(笑)。

あの後、残された山内さんが気になりました。コロナ禍で広告が激減し、貸広告ばかりになったところにゴリラが皮膚を痒がって脱いでいく様子は不気味であり、時代に取り残されたようにも見えました。

Yotta《ヨタの青空カラオケ》は、本来なら、カラオケを予約した人しか入れないのですが、館長パワーでカラオケの予約の間の時間に入れていただきました。ビルの屋上に大阪・天王寺にあった「青空カラオケ」が復活しています。20年近く前に修士時代を関西で過ごしたので、本家だった天王寺青空カラオケを見たことがあります。天王寺動物園に向かう途中、路上でめちゃくちゃ楽しそうにカラオケしている人たちの姿に「大阪だ。。。」と圧倒されたのを思い出しました。派手なネイル電飾、大阪にいるかのようです。屋上で、ほぼ外で歌うカラオケ、気持ちいいでしょうね。

恵津子館長が「タレルの作品も!」と仰ったときには参加者全員爆笑。

その後、ワタリウム美術館では今年7月に他界したクリスチャン・ボルタンスキーの《モニュメント(オデッサ)》も静かに鑑賞することができました。

続いて近くの空き地にあるSIDECOREの作品群を鑑賞し、新国立競技場前のファブリス・イベール《たねを育てる》を見ましたが、ここで採れた野菜は無料でワタリウム美術館受付で配ってるそうです!びっくり!

キラー通りの空き地から見る夕方は、「三丁目の夕日」のように、電線に囲まれている光景でした。

最後にパビリオントウキョウの藤森照信《五庵》へ。ワタリウム美術館で事前予約が必要なのですが、キュレーターツアーでは、19時閉館後に入室させてくださいました。目の前に見える新国立競技場に、「新国立競技場は本当にあったんだ!」と現実感のなかったテレビやネットの中の新国立競技場と一致する不思議な感覚になりました。この頃には、すっかり夜です。解散して帰りましょう。

文庫本より少し大きいくらいの大きさで、藤森さんの子ども時代の話から最近の建築作品まで、何も知らない私でも楽しめました。五庵訪問前に読み終えられてよかった〜。

 

 

父の働いていた青山、家族で出かけたり、送迎してもらった青山を思い出しました

5月下旬に在宅で終末医療を受けていた父親が他界しました。父は長い間、青山〜赤坂付近で営業をしていたので、青山や赤坂に詳しく、家族で原宿に出かけた際には、青山北団地含む団地の話をしてくれたり、同潤アパートで見た芸術家っぽい人に驚いた話などをしてくれたものでした。私が体調不良の際は車で色々なところに送迎してくれましたが、青山を通る際は、当時はまだ存命だった岡本太郎が住んでいた自宅(岡本太郎記念館)付近では「ここにあの岡本太郎が住んでるんだ。変なものが塀から飛び出してるだろ?」と案内してくれたり、本当に楽しい思い出ばかりです。岡本太郎さんも亡くなり、団地もいつの間にかなくなり、同潤アパートもなくなり、四角い鏡のようなガラスに囲まれたビルが増えました。

恵津子館長が子供の頃のお話を交えながら、第一青山ビルのエレベータのドアに防犯のガラス窓が付いているのがかっこよかった話などをしてくれ、子供の頃に感じたことを思い出させてもらいました。館長さん、私よりもずっと年上なのに、子供時代に感じたことをよく覚えてらして、若々しさ、みずみずしさの源はそういう感性にあるのかなあ、と感じました。

10月21日には、パリビオントウキョウの報告会も

パビリオン・トウキョウ2021の報告会ライブ配信されます。 Tokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13報告会 日 時:2021年10月21日(木)14:00開演~17:00 終了予定 内 容:13事業の企画者によるプレゼンテーション及び、座談会 配信URL:https://youtu.beKVMnYeEs8rU

ワタリウム美術館の公式twitterより