前の記事が長くなってしまったので、1階展示室の豪華な所蔵品の展示はこちらで紹介させていただきます。
私の余計な感想よりも、豪華な収蔵品をパパッと確認されたい方は、大倉集古館さんのサイトに飛びましょう!
▼このサイト、写真の大きさがちょうどいい感じ。美術館や博物館のサイトって、写真が小さいところが多い気がする(個人の感想です)。
国宝2点を展示(1点は10月1日までなので、注意!)!ケースもすごいので、ガラスなしで国宝と対面してるみたい!
大倉集古館、そんなに広い美術館では無いのに、国宝を3点も所有されてます。今回の展覧会では、そのうち2点を展示してくださるという、太っ腹!
まず、インパクト大の像である、
こちらの珍しい象像、休館中、東京国立博物館でご覧になった方も多いのでは?象自体珍しいのに、上に菩薩が乗っているという、不思議な外見で、一度見たら忘れられません。
「何度も見たことあるよ〜。」という、そこのあなた!実はこのケースもリニューアルされているのです。iPhoneのカメラでも、まるでガラスケースに入っていないように見えるほどの透過度。このガラスは、ドイツのフランクフルトに本社のあるGlas bau Hahn社に特別に作っていただいたケースで、今まで見慣れた木の枠は今では飾りにすぎないくらい、ガラスだけでも良いくらい、立派なケースになってるそうです。
2階の展示室のケースもGlasbau Hahn社製だそうで、京都国立博物館の展示室の一部にも使用されてるそうです。日本画って、ガラスの映り込みでよく見えないことがあるので、このガラスだと本当にきれいに見えます。
ただし!映り込みがないため、ガラスが無いように見えるので、衝突注意!
2点目の国宝も美しいです。
国宝 「古今和歌集序」(部分)
平安時代 12世紀(注意!9/12~10/1まで展示)
最近、藤原定実が書いたものだと判定されたそうです。美しいカラフルな唐紙(中国から渡ってきた紙)が薄く糊でつなぎ合わされてるのですが、なんと、つなぎ合わせてから、古今和歌集を綴っているそうです。こんな高級紙に書くだけでも緊張するのに、一度で成功って、藤原定美さん、すごすぎます。一巻まるまる残ってるのは、集古館だけだそうです。
この古今和歌集、なんと!ホテルオークラの平安の間に、拡大したものが!
▼いかにして、当時の美しい巻物を現代に蘇らせたのか、そのプロセスを紹介しています。唐紙の拡大写真もあって、拡大しても柄が美しいことに感動しました。
▼動画は日本語、英語で紹介。さすが国際的ホテルのオークラさんです。
Twitterに素敵な投稿を発見(ご承諾を得て、リンクを貼らせていただきました)!
5年半の改装を経た大倉集古館が桃源郷展にて日本最古の古今和歌集、しかも一巻まるまる残る唯一の国宝が展示中ですが、ホテルオークラの平安の間の壁面に、古今和歌集の巻物が再現されていて美しい。文字を外し光る文様を和紙に2m平方で印刷したとのこと。御案内いただき感謝。 pic.twitter.com/cre4oBgfJh
— 白石小百合 Sayuri Shiraishi 🐬 (@sayurin1216) September 12, 2019
▼こちらの記事の最初の写真にも。私も平安の間に入ってみたいです〜。
研究が進み始めて今後に期待!重要美術品「扇面流図屏風」
▼宗達派《扇面流図屏風 (せんめんながしずびょうぶ)》
屏風に扇を貼ったものは多いそうですが、四角い色紙は後から貼ったものだそうで、源氏物語を扱っています。でも、琳派は伊勢物語を扱うことが多かったので、今後、研究が進んでいくのでは?と注目されてる作品だそうです。
難しい研究は抜きにして、きらびやかなのに、華美でなくて、うっとりしてしまいました。安村先生の「松が宗達っぽいよね。」というご説明に、「たしかに、松が丸くてぼわんとしてる(語彙不足)!」と思ってしまいました。
▼俵屋宗達の松といえば、この松が一番有名かな。
俵屋宗達《金地着色松図》養源院
私が好きなのは、このお皿!
重要文化財 「銹絵寿老図六角皿」
尾形光琳絵付、尾形乾山作
江戸時代 17世紀
個人的にとっても好きな六角形の珍しいお皿。寿老人がかわいく描かれていて、思わず微笑みたくなる時点で、幸運がやってきそう。
他の皆さんが像や巻物などの写真を撮影中、このお皿をじっと見ていたら、安村先生が声をかけてくださいました。嬉しかった〜(この頃には少し緊張が緩んできた)。
一度にお買い上げ〜
2代目・大倉喜七郎が、横山大観が団長を務めたローマ展の展覧会に出品したものを一度にお買い上げ。日本画を国際的な美術にするため、流派間の揉め事はいったん止めて、協力して、素晴らしい作品を集めて展示したそうです。
この内覧会前に、山種美術館の「大観・春草・玉堂・龍子 ―日本画のパイオニア―」を鑑賞して、ローマ展の団長が横山大観だったことを学んだばかりなので、ラッキーと思ってしまいました。
▼山種美術館「大観・春草・玉堂・龍子 ―日本画のパイオニア―」(2019年10月27日まで)。期待を超える素晴らしい展覧会でした。大倉集古館の所蔵品と一緒に鑑賞すると、さらに当時の雰囲気を感じられて良いと思います!
▼横山大観《夜桜》
写真では左隻か右隻しか写らないので、全く伝わらない迫力です。桜と松明、そして、松の緑がなんとも言えないバランスで、夜桜の怪しさも感じます。武士の花見って感じ(語彙力不足)。
▼昨年の九州国立博物館に関する記事に、大倉喜八郎・喜七郎親子の美術への思いを伝えてくれています。今回の桃源郷展を企画された田中知佐子主任学芸員のコメントも掲載されてました!
▼速水御舟《鯉魚》
強そうな鯉ですが、白い花があることで、春で嬉しいのかな、と思ったり。
▼横山大観《木兎》
目が合って、きゅんとするかわいさ。ピンクがショッキングピンクっぽくて、効いてます。
▼下村観山《不動尊》横浜美術館で鑑賞したばかりの《弱法師》とは全然違って、力強い!
▼太陽を拝む盲目の法師の微笑みも優しい《弱法師》
▼大倉喜八郎・喜七郎親子、松方幸次郎、大原孫三郎、原三渓など、富を築いた方が美術品を収集して美術館を作る、または作ろうしてくださった思いはまさに、ノーブレス・オブリージュですね。庶民の私が素晴らしい作品を鑑賞できるのも、皆さんのおかげです。
「武士道」解題―ノーブレス・オブリージュとは (小学館文庫)
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至る所に像が。。。
▼入り口には阿吽像
▼新しくできた地下の空間には、初めて見るような像が!インドっぽい!と思ったら、まさかの中国・清時代。
▼外に佇む大倉喜八郎さんに感謝!
大倉集古館といえば、至る所に像が展示してあるのも特徴。
その一見、無造作な感じに、初来館した際、私は大英博物館を思い出しました。
無造作にすごいものを置いて、一般人に大公開。そんな豪快なところも似ていると思いませんか?
ミュージアムショップにはグッズが充実
▼左に写ってらっしゃる紳士はミュージアムショップ店長ではなく、今回、ご案内くださった学芸部顧問の安村先生です。
素人でもわかりやすいように、最初に展覧会概要をご説明くださったり、現在進んでいる研究などもご紹介いただき、本当にありがとうございました。あっという間に時間が過ぎてしまい、台風が来なかったら、もっと色々伺いたかったほどです。特に、大倉集古館を設計された伊東忠太さんが、柱などに妖怪を思わせるモチーフを入れてるお話には興味津々で、柱などの写真も撮影させていただきました。
▼特別に調合されたお香も!!一筆箋なども普段使いできそうで気になりました。
▼おめでたいカラーのオークラコレクションの図録と桃源郷展の図録。装丁がモダンで素敵ですよね。
もっともっと紹介したい作品はありましたが、私の写真技術では、実物には到底、及びません。
特に屏風や像、工芸品など、立体的な作品は写真ではほぼ何も伝わらないと言ってもいいでしょう。
どの駅からも徒歩10分程度はかかりますが、「来てよかった」と思わせてくれる美術館です。
泉屋博古館分館(せんおくはっこかんぶんかん)とはしごできる!
都心なのに喧騒から離れているホテルオークラ敷地内にある大倉集古館。鑑賞後にホテルオークラ名物のパンケーキを食べながら、感想を言い合うのも楽しいかと。また、近所には、泉屋博古館分館という、住友系の美術館もあるので、ぜひはしごしていただきたいです。
▼住友財団修復助成30年記念「文化財よ、永遠に」(2019年10月27日まで)
あ〜ととらいあんぐるスタンプラリーに注目(2019年10月27日まで)
泉屋博古館分館とコラボすればいいのに、という浅はかな素人の考えなど、とっくに読まれており、大倉集古館、泉屋博古館分館、菊池寛記念 智美術館の3館であ〜ととらいあんぐるスタンプラリーを開催されてます!記念品は先着200名までなので、急ぎましょう〜。